まだアメリカに住む前に数回、カリフォルニア州に仕事で来る機会があった。せっかくのアメリカだし、しかもフリーな土日なので、なにか”アメリカ”っぽいことをしてみたいと思って色々調べていたところ、ドラッグレース体験にたどり着いた。実際に体験してみた内容を共有したいと思う。
この記事で紹介している内容は、今から10年ほど前2016年10月に、Pure Speed Drag Racing ExperienceがカリフォルニアのFontanaにあるオートクラブスピードウェイで開催したイベントに参加したものである。現在ではルイジアナ州を拠点として、ラスベガスやペンシルベニアなどでも開催をしているようなので、興味がある方は、公式HPを確認してみるとよいだろう。
ドラッグレース(ゼロヨン)体験してみた
ドラッグレースとは?
アメリカの伝統的なドラッグレースでは1/4マイルをどれくらい早く走行できるかのタイムを競うものだ(現在トップカテゴリー(Top Fuel / Funny Car)は 1000フィート(約305m)に短縮されているそうだ)。1/4マイルは約400mなので、日本では0-400mを走行する「ゼロヨン」とも呼ばれ、停止した状態から、加速して1/4マイルを走り切るまでのタイムを競うものである(その昔、国道246号青山通りで、市販車をベースとした改造車で行われたと言う話を聞いたことがある)。現在、日本でも各サーキットでイベントなども稀に開催されているようだ。
申し込みしてみた
Web経由で申し込み。トータルで$711(当時のドル円レートで約¥75,000)だった。

インフレと円安の影響で、今はもっと高額になってしまっていると思われるので、当時、思い切って奮発して良かったと思う。
サーキットに集合
Los Angelsのダウンタウンから車で約1時間ほどで、目的のサーキットに到着。道中、美しい山並を見ながらドライブ。

現地につくと、私より前のロットに参加していた人が走行していた。長い直線のスタートラインから、リアホイールをスピンさせてから、勢いよくスタートしていく。

「おお、マジか、これ乗るのか」という感想。なんかリアタイヤ太っといし、前輪は細っそいし、前方投影面積は小っさいし、車体は長いし、まさにドラッグレーサーという感じ。

ルールと運転の仕方の説明
受付を済ませると、ブリーフィングが始まった。今回参加したイベントでは、ドラッグレースのために作られたガチのドラッグレーサーを運転できるというのがウリ。多くのアメリカ人がMTを運転しないため、ATのドラッグレーサーとのこと。

冗談を言いつつも和やかな雰囲気で説明してくれていたが、今までの人生で一番マトモに英語のリスニングに挑んだ瞬間だったと思う。説明によると、
- スタート位置に付く前に、ガイドが合図したら思いっきりアクセルを踏み込んでリアタイヤをスピンさせて温めろ。
- クリスマスツリーと呼ばれる信号が変わったら思いっきりアクセル踏め。床まで踏め。踏み続けろ。
- ハンドルは絶対切るな。スリップしたら滑った方向と反対にハンドルを緩やかに動かせ。
- 最初は330ft、その後1/8マイル、最後に1/4マイルの3本を走る。それぞれの目印のラインを突破したら、アクセルから足を離せ。
- ブレーキを踏んで減速するが、スピンするから急ブレーキを踏むな。あと、他のスイッチは絶対に触るな。
という感じだったと記憶している。インストラクターの指示に従って走行する形式のため、初めてでも安心してスピードを体験できる。
一般的なアメリカ人で、このような体験に参加する人はおそらく一般常識だったと思うが、そもそもクリスマスツリーがなにかもわからなかったし、「どこまでアクセルを全開するのか」も不明だった。そこで、何度も聞き直したら、わざわざ1/4マイルの終了部分まで連れて行ってもらい、かつ「この看板を通過したらアクセル緩めろ」って教えてもらった。英語が禄に通じない日本人に対して、非常に丁寧に教えていただいて感謝。
今思えば、TOEICのスコア500点届かないにも関わらずアメリカ転勤の打診があった際、アメリカでもなんとかなるっしょ、という自信が付いたのは、こういった体験があったからだと思う。同じクルマ好きならとりあえずデカい声で身振り手振り話せばなんとか通じるものだ(笑)。今思えば、簡単な英語だったと思うし、冗談も楽しめると思うが、当時は本当に必死だった。
時速200km/hの体験
私のプランでは、1本のタンデム同乗走行(プロドライバーの隣に乗る)付き。助手席に座って荷物になっていると、ものすごい速さで加速していった。

峠や高速道路の入口などで、スポーツカーを運転するとシートに押し付けられる感覚を味わうことができると思うが、その比ではない加速Gを味わうことができた。大体やり方がわかったところで、早速、一人でやってみろと言われ、早速乗ってみる。

以下の動画は、練習走行後の本番走行。オンボードの映像は、イベント終了後にUSBに入ったものをもらうことができる。
外側から撮ってもらった映像はこんな感じ。
結果
公式記録は、1/4マイルが10.043秒、最高速度が129.69mile/h(約208.7km/h)だった。もう少しで10秒を切ることができた。市販車と比較すると、992型ターボS(3.8Lツインターボ、650馬力、AWD)が10.3秒とのことなので、それより0.3秒近く速いということになる。

信号がGoに変わる瞬間の緊張感や、昔のドッカンターボ車のようにシートに押し付けられる感覚が、一時的ではなくずーっと続く感覚、さらにその中でステアリングの感覚がスッと消える不安とか、色々なものを味わうことができた。
おそらく、このマシンは本当に「入門用」で、初めてでも「とりあえず全開で踏んでみ」って言えるような、オーバーステアにならない、あるいは前輪が浮かないような抑制がされていたものと思われる。それでも、ちょっとしたスリルと、「アメリカっぽさ」を楽しむことができた。一般的な市販車とは比較にならない加速で、短時間で時速200km前後に到達する感覚は、日常ではまず体験できないものだった。
まとめ
今回、アメリカでドラッグレースを実際に体験してみて、かなり面白い体験だった。入門レベルなので、基本は「アクセルを踏めば大体OK」という範囲ではあったが、それでも加速の感覚は日常ではまず味わえないもので、短い距離でも十分にその迫力を感じられる。費用はそれなりにかかるが、それに見合うだけの価値はあり、アメリカならではのスケール感を含めて、一度は体験してみてもいい内容だと思う。

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