自動車保険のススメ。対人、対物、他車運転特約についての話

公道で車を運転するために必須の自動車保険。いわゆる「強制保険」と呼ばれる自賠責保険だけでは保証範囲が異なるため、必ず「任意保険」に加入しよう、という話。

この記事では、管理人が自動車を運転するために必要な任意保険について、任意保険の概要・損害補償額はどれくらいにしておくべきか、つけておくと助かる特約について、かれこれ15年程加入し続けている任意保険の内容をもとに説明する。特に、他車運転特約については、あまり知られていないものの、とても安心のオプションである。

車は便利で楽しいものである。だからこそ、その車で不幸にならないように、万が一の事故に備え、ポイントを押さえて保険に加入しておきたい。

目次

自動車保険の概要

保険には、法律で加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険)と、各種保険会社が運用している自動車保険(任意保険)がある。

自賠責保険

車を公道で運転するためには、バイクを含み「自賠責保険」に加入することが法律により義務付けられている。自賠責保険に加入していない車輌を運転した場合、違反点数6点=免停となる。

一般的に車検の際に、同時に2年契約で時加入するため、車検が有効な車であればおそらく加入しているだろうと思われるが、念のため、自賠責の証書(車検証入れに入っていることが殆ど)を確認するのが確実だ。

車検のない250cc未満のバイク等は、ナンバープレートに自賠責保険のシールを貼る必要があるので、ナンバープレートに貼られた自賠責保険のステッカーで期限が切れていないことを確認しよう。

自賠責保険の目的は以下、自動車損害賠償保障法に定められている通り、交通事故の「被害者の保護」を目的としている。

自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を(中略)目的とする

自動車損害賠償保障法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=330AC0000000097_20220615_504AC0000000065 より抜粋し、筆者により強調および中略

自賠責では、加害者の怪我や財産についての保障は一切されない。さらに、保険支払額には限度額があり、傷害で120万円。不幸にも相手を死亡させてしまった場合には3,000万円までの保障となる。また、物損事故は、そもそも自動車損害賠償保障法の対象ではない。

任意保険

そんな自賠責保険ではカバーできない万が一の損害を保証するのが任意保険。自身の怪我、および自賠責保険ではまかないきれない被害者への弁済のため、任意保険に加入することを強く勧めておく。

任意保険が保証してくれる範囲

交通事故を起こしてしまった場合、加害者は
1)刑事責任 …懲役、罰金刑など
2)行政責任 …免許の取り消し等の処分
3)民事責任 …被害者およびその遺族への賠償金
が発生する。任意保険は、このうち 3)の民事責任の賠償を保障してくれるもの。過去の事例として、死亡事故の判例では損害賠償金が5億2,800万円となった事例もある(など、賠償額は非常に高額となり、経済的損失も大きい。また、精密機器・競走馬など高額な積荷の場合、物損事故でも数億円に達することもあるため、自賠責保険では到底カバーできない。

また、運転者自身、あるいは同乗者の怪我や車の保障は自賠責では保証されない。

ところが、この任意保険の加入率は約75%(*全国の対人・対物保険加入率)となっている。つまり4台に一台の車両は自動車保険に入っていないということになる。
*出典: https://www.sonpo.or.jp/report/statistics/syumoku/ctuevu0000004shr-att/kanyu_jidosha_ken.pdf

任意保険で選べる保障

殆どの自動車保険では、自分の必要な保障を選択できるようになっている。ご自身のライフスタイルに合わせて保障内容を選択するのが賢い選び方だろう。大きく分けて任意保険の保証内容は、「①相手への賠償」「②自分と搭乗者の補償」「③自分の車の補償」の3つに分けられる。

①相手への賠償

事故を起こしてしまった相手への補償については、自動車事故によって他人を死亡・怪我させてしまった場合の対人補償と、他人の財産に損害を与えた場合の対物補償がある。

ここは、冒頭で述べたように数億円の賠償が必要になる可能性があるため、「無制限」を選択しておくべきだろう。

②自分と搭乗者の補償

こちらは、自分と、同乗者の補償である。

ライフスタイル等によると思われるが、大事な家族・恋人・友人を乗せてドライブする機会があるのであれば、こちらも無制限を選択しておくのが良いだろう。

なお、「無保険車傷害」なるオプションが有る。これは、自分が事故の被害者となったときに、相手が保険に入っていない場合に、保険会社が不足分を代わりに補償してくれるものだ。保険会社にもよるうが、これは車に乗っているときだけではなく、自分が歩行中に事故にあってしまった場合も補償される。

③自分の車の補償

次は自分の車の補償について。私の場合は、アルトワークスを除き加入していない(アルトワークスで加入している理由は、「他車運転特約」にて)。

なぜなら、私は無理をして維持するような高級車を所有しているわけではないことと、車を購入するときには、車両価格の30%程の「予備費」を充当しているからだ。例えば、乗り出し価格で300万円の車を買う際には、390万円の予算を組んでおき、残りの90万円は万が一の際の修理等の費用として持っておくことで対応している(仮に全損事故を起こしてしまった場合、90万円の中古車に乗り換えることになるが…)。こちらは、まぁ本当にライフスタイルによると思う。

ロードアシスタンスサービスといって、不動車になったときのレッカー費用を補償してくれる物があるが、JAF会員であれば不要だろう。このように代替サービスが有る場合には、そちらを頼る事を考えてみるのも得策。わたしはJAF会員ではないので、ロードアシスタンスサービスのみ、加入している。

他車運転特約

私がとても頼りにしているのは「他車運転特約」である。「自分名義以外のクルマを運転するときに、自分のクルマが契約している保障内容を、自分名義以外のクルマにも適用できる」というものだ。別居している親族のクルマや、友達のクルマ、レンタカーを運転する時にとても安心できる特約だ。ただし、同居している親のクルマは対象ではない、別居している子供のクルマでも、その子供が独身の場合は対象ではない、など注意が必要。特約内容の詳細は各保険会社の案内を確認して欲しい。

私の場合、実家に帰省した際に、親のクルマを運転することがある。親は運転者限定の保険に加入しているので、私が運転した場合には、”親の自動車保険”の対象ではない。実は、任意保険料を抑えるために「運転者限定」としている事はよくあるのだ。

そこで役に立つのが他車運転特約。私の場合はアルトワークスに他車運転特約をつけ、かつ「対人・対物・搭乗者無制限」かつ、「車両保険(免責10万円)」に加入している。ポイントは、「自分名義以外のクルマを運転するときに、自分のクルマが契約している保障内容を、自分名義以外のクルマにも適用できる」ため、アルトの保険で直せちゃう、というわけ。アルトの車両価格はせいぜい80万円位だとしても、例えばベンツの修理に300万円かかったらその分保証されるということらしい。また、仕事柄、第三者が所有する車輌を運転することもあるため、この特約はとても安心できるのだ。

いざ事故した際に、思っていた条件で使えない、なんてことがないようにくどいようだが、各保険会社の案内を確認して欲しい。私の場合は、コールセンターに数度電話して確認している。

無保険車特約

こちらがきちんと保険に入っていたとしても、相手が保険に入っているとは限らない。とても残酷な話だが、相手に支払い能力がないと自分が被害者でも保障されない事態に至ることを想定して、相手が無保険の場合に、自身の保険で保証する特約をつけておくのも良いかもしれない。

比較して自動車保険を選ぶなら

自動車保険会社がターゲットとしている年齢層も様々。また、対面での客とのやり取りをサービスと捉えるか、またはそんなことより安くしてくれたほうがいいか、など、自分が必要な保険は年齢、ライフスタイルによって異なる。自分でじっくり比較検討することで自分にあった保険会社を見つけることができる。ただ、コレをやるととても時間がかかってしまう。普通に見積もりパンフを取り寄せ、HPで保証内容を確認するのも良いだろう。でもその前に一番安い自動車保険を検索して数社に絞り込むのが効率的だ。一括見積もりをするなら、複数の保険会社を無料で比較できる下記のようなサービスを使って、安そうなところを3社位に絞りこんでから本格的に検討するのがおすすめ。



まとめ

一般的に車検時に更新される自賠責保険ではカバーできない高額な保障について、任意保険への加入を強く勧める。特に、対人・対物・搭乗者は無制限としておくのが良いだろう。費用を抑えるには、運転者を限定することや、不要なオプションを排除することで対応する事ができる。

なお、他車運転特約は、自分の同居の家族以外のクルマを運転するときに心強いため、ぜひオススメしたい特約である。

この記事を読んでいる方は、きっとクルマが好きな方だろうと思う。車は便利で楽しいものである。だからこそ、その好きなクルマで不幸にならないように、万が一の事故に備え、ポイントを押さえて保険に加入しておきたい。

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