アルトワークスのミッションオイルを交換したのでその手順を記載。スズキのサービスマニュアルによると、アルトワークスのマニュアル・トランスミッションオイルの交換は、7万5千kmごと、とある。S660に比べて容量も多いので発熱に対するオイル劣化はそれほどないのかもしれない。しかし多くの方が「運転を楽しむ」という目的でアルトワークスを購入していると思う。私の妻がアルトワークスを選んだのも「運転が楽しい」から。小排気量で小気味よくシフトチェンジするアルトワークスのトランスミッションのフィーリングは、運転の楽しさに直結する要素なので、3万km もしくは2年毎に交換してやると、フィーリングが劣化せずに”小気味良い”シフトが楽しめると思う。
ミッションオイルの交換時期、選び方
交換に必要なもの一式は下記写真の通り。ミッションオイル、液状ガスケット。それに加え、交換のために必要なソケット類。アルトワークスは、フィラープラグが奥まっているので、エクステンションバーを2つ組み合わせている。
油脂類
今までは、ずっとWako’sのRGを使っていたが、アルトワークスの使用量は2.3L。Wako’sのRGは2L単位の販売なので2缶必要になり、結構なお値段になってしまう。
そこで、今回は、アルトワークスを購入後交換してから初の純正のミッションオイル↓を採用した。
3Lでの購入が可能なので、これ1缶でOK。
スズキのミッションオイル交換の際には、ドレンプラグに液状ガスケットの塗布が指示されている。サービスマニュアルによると、99000–31260 (スリーボンド1217G)を指示されているが、入手しようと検索しても出てこない。そこで、同じシリコン系の液状ガスケットとしていつもスリーボンド1215Gを利用している。ミッションオイル交換はDIYで行っていて、そろそろ走行距離が10万kmを迎えるが、漏れやにじみなどは一度もない。
エクステンション
ミッションオイルのフィラープラグ(注ぎ口)は、奥まっているのでエクステンションバーを組み合わせて利用。以下2つを使っている。
フィラープラグの取り外しソケット
オイルフィラープラグ、およびドレンプラグに9.5sqのボックスレンチをそのまま差し込んで緩める方法もあるが、なめやすいという欠点がある。プラグ側の寸法が10[mm]なので、9.5[mm]だとなめる可能性がある。このネジがなめてしまうと交換には手間と時間がとてもかかるので、始めから10[mm]のスクエアソケット の使用を強く推奨する。
ホントは、↑のKTCのAC302-10が欲しいのだが、いかんせん高い。手持ちの10[mm]の スクエアソケットは、↓のアストロのドレンソケット。
左フロントのタイヤを緩める
ジャッキアップ前に、左前のホイールナットを緩めておく。ジャッキアプしてホイールナットを外し、タイヤを外す。
車の下に潜る作業のため、必ずウマをかませる必要がある。ジャッキアプについてはこちらの記事を参照
フィラープラグから外す
さて、ここから「オイルを入れるため」のフィラープラグを緩める。この作業はミッションオイルを抜くよりも初めにやっておくこと。というのも、フィラープラグが緩まないまま「オイルを抜くため」のドレンプラグを緩めてオイルを抜いてしまうと、フィラープラグが緩まなかったらオイルを注入できない=不動車となってしまうためである。必ずフィラープラグから緩めよう。
フィラープラグは、左前のタイヤを外すと奥に見える。↓の赤◯のプラグ。
ここに、冒頭で紹介したエクステンションをこう見合わせてアクセスする。結構距離があるのでエクステンションを使うことになる。斜めに入ると舐めやすいため、サイズがピッタリの10[mm]のスクエアソケットはぜひとも使いたい。
これが緩められたら、次はミッション下側のドレンプラグを緩める。
ドレンプラグを外す
ドレンプラグは、↓の赤◯。ここは同様に10[mm]のスクエアソケットで緩める。
緩めると一気にミッションオイルが排出されるので、予め受け皿を構えておこう。相変わらずミッションオイルの匂いは苦手。
オイルのチェック
前回は7万kmの時にミッションオイルを交換している。今回は9.8万kmでの交換。前回入れたオイルのWako’s RGの劣化具合をチェック。色は当初の色と比べてだいぶ黒っぽくなっているが、鉄粉は見えない良いコンディションだ。
ただ、最近ギアの入りのフィーリングがよろしくなかったので、替え時だったと思う。
下写真の左側がドレンプラグ、右側がフィラープラグ。ドレンプラグには磁石がついていて削れた鉄粉を吸い付けてくれている。どうしても摺動部品の金属の削れがあるので細かな金属粒子が汚れとともに見える。しかし、大きな金属片はなかったので問題なし。
確認ができたので、ウェスできれいに拭き取って、パーツクリーナーで清掃しておく。
ドレンプラグを締める(テーパー)
オイルが抜けたら次は、ドレンプラグを締め込んでいく。ここで注意が必要。まず、スズキ車のミッションオイルのプラグはテーパー形状であるということ。実際に計測してみたのが↓。
オイルパン側で20[mm]。外側で21[mm]となっている。すなわち、締め込んで行くにつれてネジ径が広くなっている「テーパー」状になっている。サービスマニュアルではミッションケースへの締め付けトルクは21N・mとあるが、ここで注意。21N・mで締めようとすると、どんどん奥に入っていってしまう。最終的にはミッションケース割れるおそれがある。だから、私の場合は元あったとおりの位置まで締めたらOKとしている。液状ガスケットを塗布してから組み付けるので、今まで漏れ・にじみは皆無。
液状ガスケットを塗布してから、ドレンプラグを取り付ける。締め込むときは優しく。
元あった位置まで締め込むだけ。
ミッションオイルの注入
オイルを入れるにはサクションガンを使う方法もあるが、どうしても溢れてしまう。そこで、こんな感じのファンネルを使って注入する。
上記写真のファンネルはアストロプロダクツの物だが、同様の物は↓のリンクで検索可能。
これをエンジンルームにセットし、ホースの出口側をミッションオイルのフィラーに差し込む。
いよいよミッションオイルの注入。量は2.3L。
今回は2.35Lを計量カップで計って、上から入れる。
規定量入るとフィラーから垂れてくるので、ホースを引き抜いてフィラープラグを締めればOK。
ドレンプラグ同様、フィラープラグにも液状ガスケットの指示があるが、次回のフィラープラグの掃除が面倒なのでは塗らずに組み付けている。走行前に周囲を清掃。30kmほど走って漏れがないことを確認。
フィーリングは、純正の方がWako’sより「スッ」と入る
Wako’sのミッションオイルを使っていたときは「コクン」というようなシフトフィーリングだったのだが、今回スズキ純正に変えてから「スッ」と入る感じになった。温度と粘度の関係の違いと思われるが、サーキット走行よりも通勤に主眼をおいた使い方をしているので、純正オイルの方がコスパの面では適しているのだと思った。改めて純正の良さを認識。
おまけ:シフトブーツ周辺のグリスアップ
ついでに、シフト周りのグリスアップもしておいた。前方のドリンクホルダー下の左右のネジを緩めてサイドブレーキ下の継ぎ目を外すと、シフトのカバーが外れる。
前方を持ち上げると、シフトレバーの付け根がみえる。
ここの周囲をグリスアップしてあげると、フィーリングが良くなる。
組戻して完了。
まとめ
ミッションオイルの交換は、我が家の場合は1年毎に実施する。今回はスズキ純正オイルを利用した。ドレンプラグの締め付けトルクだけは注意が必要。それだけ気をつければ難易度が高い作業ではない。
MTのフィーリングは、オイルによってかなり変化する。街乗りや通勤主体だと、純正オイルの方がフィーリングは好みだった。
コメント