我が家に、リッジライン(Ridgeline)がやってきた。リッジラインはHondaが北米市場で販売しているピックアップトラックで、初代は2005年に発売。今回のモデルは、2016年から続く2代目の、2025年モデルである。
アメリカ(大都市部を除く)では、ピックアップトラックを日常の足にしている人も多い。今の40歳以上の方は、Back to the Futureで主人公のMarty McFlyが憧れていたToyotaのハイラックスのピックアップを覚えている人もいると思う。近年は都市部では特に、ハイブリッド車、EV、コンパクトカーが台頭してきているものの、まだまだピックアップトラックの人気も根強い。特にFordのF-150や、トヨタのTACOMA、Hondaのリッジラインはよく見かける。
一番はじめにリッジラインを意識したのは、昨年行ったデトロイトモーターショー。

その会場で、黒いリッジラインを見て、コレが欲しいなーと思った。

私もそんなトラックに憧れて、燃費の悪さなどは目をつぶりつつ、Hondaのリッジラインを乗ることにした。
エクステリア
アメリカで人気の押し出しの強いエクステリア。色は、ソニック・グレー・パールにした。最近この色流行ってるようだ。昔、一時期グレー色ブームがあったんだよ的なことを現地の人が教えてくれた。

そして、デカい。ゴツい。ピックアップトラックなので、もちろん後部に荷台がついている。ピックアップトラックの荷台のことを、ベッド(Bed)と呼ぶ。

雨が降ると荷台が濡れてしまうことと、トランクみたいに使うことを想定して、布製ではなく、盗難対策に有効なプラスチック製のベッドカバーを購入。Amazonで300ドルくらいだったと思うが、純正品と比べると半額以下だ。
トラックとしての使い勝手
基本的には私が移動で使っているが、れっきとしたトラックである。なので、もちろん荷物がたくさん積める。マウンテンバイクもそのまま積めるし、トラックなので汚れも気にしない。

ホームセンターで資材を大量に買い込んだり、IKEAやフリーマケットで家具を買ったり、子供の自転車を運んだり、夜に山に登って寝っ転がって星を見たり、などの使い方にピッタリ。知り合いのツワモノは、このベッドスペースにテントを張り、キャンプベースとして使ったりもしているそうだ。
リッジラインのベッドドアは、横開きと縦開きが可能。↓は横開きモード。ベッドの奥まで簡単にアクセス可能。

↓は縦開きモード。この状態でも走行できるし、倒したドアの上に座ることも可能。

更に、ベッド下には収納スペースがあり、1週間分くらいの食材であればココに全部入る。

ベッドドアは、ベッドカバーを使うことを前提として、キーロックに連動してロックするモードで使うことも可能。収納スペースもキーロック可能で安心。
純正で牽引のためのベースが取り付けられている。同じくリッジラインに乗る友人によると、リッジラインが牽引できる容量5,000ポンド(2,250kg)は、他社に比べて少なく、レジャーボートやクルマを積むためのトレーラーを想定すると物足りないそうだが、私はその用途で使うことはないため、特に不便は感じない。
インテリア
シンプルなインテリア。ごちゃごちゃしておらず好感が持てる。難点は、日本のHonda車と違って、ボックスティッシュを入れるペースがない。中央のアームレストに入るのかと思いきや、長さが絶妙に足りない。私は無理やり箱を潰してアームレストに入れている。他は不満なし。

9インチのディスプレイが備わる。Android Auto/Apple Car play対応のためスマホがあればワイヤレスで接続し、ナビとして使える。

メーターはCIVICと共通要素強め。回転数表示部分はカスタマイズ可能。

ホンダセンシング系の安全装備がつく。しかし、リッジラインはパーキングブレーキがワイヤー式(電動パワーブレーキではない)なので、完全停止の機能はないので、22mile/h(35km/h)でキャンセルされてしまうのが難点だが、慣れてしまえば快適だ。

後部座席シートアレンジ
普段は5人乗り。大人でも座れるが、運転席の後ろのシートは長身だと少し窮屈。

後部座席は、荷物置き場としてアレンジ可能。シートを跳ね上げれば、自転車をそのまま積める巨大な荷室が誕生。

ドライビング性能
エンジンは、3.5L V6 自然吸気 I-VTEC。280馬力でトルクは355N・mを生み出す。

組み合わされるトランスミッションは9AT。車重は2トンあるので、シフトダウンしてから加速するまでの重量級のモッサリさはあるものの、慣れれば重厚な乗り味として許容できる。ムキになって飛ばすようなクルマではない。これで75mile/hの規制速度のFreewayをガーーーーって走ると、とても気持ちが良い。流れに乗って少しペースアップしても、何不自由なく走行可能。
自宅から割とすぐアクセスできる近くの整備された峠道の規制速度は55mile/h(約90km/h)なので、規制速度で走ってもそこそこ楽しめる。ステアリングの適度な重さ、そして十分なパワーが相まって、結構なハイペースで走行しても、安定感を損なうことはなく楽しくドライビングできる。ただし、重量が重量なのでブレーキには気を使う必要がある。運転はしやすいが、もちろん車幅にも注意が必要だ。
タイヤは245/60R18のM+S。走破性もいい感じ。個人的にはホイールとブレーキの隙間はこれくらいがベスト。オフロードの走行を想定しているクルマは扁平率は55以上がカッコイイと確信している(これは、乗り心地を重視するセダンやミニバン、ゴツいSUVにも言えることだと個人的には思う)。4WDなので雪道もオフロードも安心のトラクション。

燃費は、通勤(渋滞込み)で20mpgほど、すなわち、リッター8km程度走る計算になる。これだけの重量と馬力の割には良好だろう。ちなみに、ガソリンはUSのレギュラー(オクタン価87)対応。
価格
スターティングプライスは$40,150(1ドル150円で約600万円)から。装備が充実したブラックエディションは$46,750(約700万円)。日本円にすると、最近時の円安の影響もありなかなかのお値段だが、現地の物価を考えると、まぁお買い得な部類になると思われる。
まとめ
都市型ライフスタイルにもフィットするHondaのピックアップトラック、リッジライン。その走りはトラックらしい力強さを持ちながらも、乗り心地や静粛性、室内の快適さはSUVに近い印象だった。日常使いからアウトドアまで幅広く対応でき、北米のユーザーがこのモデルを選ぶ理由がよく分かる。重厚さと扱いやすさを両立したHondaらしいトラックだと思う。これからのアメリカ生活の相棒として活躍してくれるだろう。
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