前回の筆記試験編に続き、今回は路上試験。アメリカでは日本の有効な免許証を持っていれば国際免許で運転可能なため、試験前にドライブして慣れておけば路上試験はそれほど難しいものではない。筆記試験の際に日本の有効な免許証の翻訳が受理されていれば、本来必要な30日の仮免許期間が免除されているので、早速路上試験を受けてきた。
自動車試験の申し込みと試験手順
ミシガン州では、すべての路上試験が民間の試験業者によって行われる。筆記試験を受けたときに窓口のお姉さんに「すぐ隣に路上試験やってる業者がある」と紹介された業者を訪ねたが、その日は予約一杯だったので、Web申し込みのアドレスを教えてもらい、申し込み。普通のショッピングセンターの駐車場みたいなところにある小さい試験業者だった。Web経由で、クレジットカードで$80払う。料金は教習所によって、また、教習所所有の車を使うかどうかで料金が異なる。今回は、自分の車を持ち込んで試験を受けた。
必要な持ち物
- 日本の運転免許証(国際免許じゃダメ)
- 運転免許証の翻訳
- 筆記試験の合格通知書
- 車の保険加入証明書(ミシガンでは$1,000以上の保険への加入が義務)
- 車のRegistration Record(車の登録証明書)
試験業者に予約していることを伝えて、書類確認と、注意事項のドキュメントにサインしたら試験開始。「車両確認」「駐車試験」「路上試験」の3つのプロセスで試験が実施される。試験官はオバちゃんだった。優しい言葉で話してくれるものの、ところどころ指示する際はピシっとした言い方で、「日本の教習所の教官」みたいな感じ。
車両確認
ウィンカー、ブレーキランプ、ワイパー、ホーンが正常に動作するかをチェック。日本の癖で車の右に乗り込もうとして試験官に「あたなが運転するんだよww」と突っ込まれる。当日は雨予報だったので前日にフロント・リアガラスに撥水剤と、リアカメラ、サイドミラーを綺麗にしておいた。車の不具合は一発不合格なので、下記リンクを参考に、事前に灯火類、タイヤ、ブレーキ、オイルなどを含む基本点検は完了させておこう。
また、試験官が乗り込んでくるので、助手席に余分なものを積まないように。
駐車試験
駐車試験は、①前方の距離感覚、②バック駐車、③縦列駐車の3つ。多くのアメリカ人はバックと縦列駐車する経験が日本人より少ないため、苦手なようだ。基本的に日本で免許を持って普段運転していれば難しいものではないが、ちょっとしたコツのようなものを記載しておく。
前方の距離感覚の試験とコツ
「停止線に対して可能な限り近づき、かつ、停止線を超えることがないように止まれ。止まったらクラクション鳴らせ」という指示。後から知ったが、2ft(約60cm)以内に止めればOKなようだ。
コツは、普段の車の距離感覚の目印を決めておくこと良い。例えば私のクルマで、私のドライビングポジションの場合は、運転席に座った時にエアコン吹き出し口の上端が自分の車の先端が、ほぼバンパーの先端と同じくらいになる。
車種や運転姿勢、座席の調整などで全然変わってくるので、独自で車内の目印を決めておくのが良い。これは新しいクルマを購入した時、車両感覚を掴むために必ずやっていたこと。しばらくは目印を意識して運転してるうち、慣れてくれば目印を気にしなくても寄せられるようになる。下の写真のメジャーが2ft(60cm)なので、その範囲に入って停まればOK。ギリギリをねらいつつ、停止線オーバーをビビって3インチ(8cm)ほど残ってしまったが、後から聞いたら「やり過ぎ、ここまでやらなくてもOK」(「可能な限り」って言ったじゃん…)。
バック駐車
バック駐車の指示は「バックで駐車せよ。できるだけ後ろに下がって止まれ。駐車完了したらクラクション鳴らせ。」
最近、日本でもコンビニなどで前向き駐車する人が多いが、日本人の多くはバック駐車が上手いと思う。最近はリアモニターカメラ(新車は法規で装着義務)もあるのでその辺をうまく使えば余裕と思われる。不安なら、スーパーの駐車場などで数回やってみるのが良いだろう。
縦列駐車
次は縦列駐車。「縦列駐車しろ。駐車完了したらクラクション鳴らせ。」
縦列駐車をする機会は日本でもあまりないし、アメリカでも都市部でない限りそれほどない。不慣れな場合、とてもハードルが高く感じるだろう。苦手な人も多いのではと思うのでちょっとしたコツを載せておく。前方、側方、フロント・リアタイヤの位置と軌跡を感覚的に身につけておく必要がある。慣れれば一発でスムーズにできるようになるので、練習あるのみ。
こんな感じでクリア。
路上試験
駐車試験が終わったら、次は路上試験。
試験官「左右の指示がなければ直進すること。すべての交通ルールに従って運転すること。事故したらそこで終了。また、不合格となる点数に到達したらそこで試験終了。質問は?」
試験官の指示に従って運転する。以下のポイントを見られているっぽい。
- 路上に出る時、一時停止標識、赤信号点滅での一時停止(3秒停まるようにした)
- 制限速度
- 右左折、車線変更のウィンカーのタイミング(日本と同じ、30[m]手前 or 3秒前の早い方)
- 右左折、車線変更でちゃんとミラーチェックと目視確認しているか(普段より大げさな動作で2回)
- バックミラー、サイドミラーで定期的に後方をチェックしているか
- 流れに乗った速度で走行できているか(制限速度マイナス2マイルで走行。加減速など)
- ブレーキ・アクセル・ステアの操作の滑らかさ
- 車線をルールに従ってきちんと走っているか
- No Turn On Redで右折しないか
ミシガン州は日本に比べて制限速度が高い(一般道45mile/h=72km/h、Freeway70mile/h=112km/h)ので、みんなそこそこ守る。制限速度で走っても、煽られることはそれほどない。逆に、日本の教習車のようにノロノロ走ったり、意味不明なブレーキを踏むと危ないのでメリハリのある運転が良いだろう。高速の加速レーンでは、きっちり本線速度まで加速して安全確認と合流が必須。片側2車線の一般道、対面通行の道路、Freewayを合計10マイルほどの距離走行して終了。
試験結果
アメリカらしいな~と一番感じたのは、試験官が試験中ずっと話しかけてくること(笑)。
「日本からきてどのくらい?」「家族は?いつ来るの?」「子供は何歳?私の子供は26歳と18歳。」「次の信号右折」「日本は東京知ってる。いつか行ってみたい」「仕事何してるの?」「次の交差点を左折して高速道路乗って」「日本ではどんなクルマ乗ってたの?S660?なにそれCool。Kei-Carは有名だよね」「安全が確保できたら前の車追い越して」「最近物価が高いね。この前食料品店行ったらさ…」「次の一旦停止右」「ここ2年位でほんとに高くなった」などなど…そんなこんなで、路上試験から帰ってくると、その場で合否が言い渡される。
試験官「はじめ緊張しているように見えたから、緊張をほぐすため、ずっと話してたのが良かったみたいね。結果はPerfect。減点無しの合格。おめでとう。アドバイスは何もないわ。アメリカのルールをよく理解している。日本人って狭い路地で小さい車ばっかり乗ってるんでしょ?なのにあなた、高速合流でいい踏みっぷりww良くできました。」
私「あ…はい、ありがとう」(英語がそれほど得意ではない私には、その世間話の間にちょいちょい来る英語での指示が一番緊張したんですが…)
通常の運転タスクに加えて、試験に関する指示がいつ来るかを世間話しながら聞く必要があって結構疲れた。つくづくアメリカ人は沈黙を嫌う人が多いんだなと思った次第。結果は無事合格でホッとした。
以下が路上試験の合格証。
再度、免許の申請
路上試験の合格証を持って再度SOS(Secretary of State)に行き、視力検査と写真を撮って、申請料$25を支払うと、仮の免許証が発行される。
免許取得
10日ほどで本物の免許証は後日自宅に送付されてくる。下記はサンプル
これはIDとしても利用できるため、パスポートの携帯が不要になる。また、酒類の購入の際の年齢確認も簡単になる。アメリカの国内線の利用の際も、パスポートを持ち歩かずにすみ、免許証の提示だけでOKとなるので非常に便利だ。
まとめ
アメリカに来て3ヶ月。住所を定め、SSNを取得して、やっと免許試験。試験のために費やした時間は、筆記試験で5時間ほど(私の英語力だと、What Every Driver Must Knowを読むのに結構時間がかかった)。路上試験は、国際免許があれば、日常の運転で慣れていくのが良いだろう。日本の免許を持っていて、計画的に予約できれば、朝筆記試験を受け、午後に路上試験を受ける、なんてこともできてしまう。実際に免許が手元に届くまでは10日ほどかかるが、試験は最短1日で完了できるだろう)。内容も、日本で普通に運転できるレベルの知識と経験があればそれほど難しいものではないと思う。完璧に英語を聞き取れる訳では無いし、たどたどしい会話だけど、なんとか免許試験に合格できた。
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