日本精機製のメータの室内取り付けを完了したので、今回は、追加メーターでわかることをまとめた。また、今回追加したメーターのうち、水温計・ブースト計に関してはその精度を確認すべく、車両が出力しているCAN情報との差分を比較してみた。
前回の記事はこちら↓
追加メーターの取り付けに関してはこちらの記事 →S660 追加メーターの取付
追加したメーター 日本精機製: デフィ ADVANCE A1
追加メーターでわかること
追加したメーターは、水温計、油温計 、油圧計 、ブースト計 。
下写真の左から、油圧・油温・水温計
水温計
現代の車は、水冷エンジンが主流。エンジン内部に冷却水の通り道があり、その中をクーラントが流れている。エンジン内部を通って熱くなったクーラントはラジエータに送って冷やしてから、エンジンの冷却水の通り道に再びに戻す。これによりエンジンの温度を下げるという仕組み。水温計は、ここを循環している冷却水の温度を表示するもの。
適正水温は80~95℃くらい(季節や車種による)。98℃を超えるとクーリングしたい。夏場でサーキット走行をすると、純正ではそれくらいまで上がってしまう。ちなみに、水の沸点は100℃だが、ラジエータキャップ圧力と冷却水の成分によりそれより若干高い。
一方、最近の車両には水温計がなく、インジケータのみ。冷間時の青いランプ点灯、オーバーヒート時の赤いランプ点灯。また、純正の水温計があるにしても、オーバーヒート気味になるまで動かない(頻繁に高温側を表示してドライバを心配させないため、と聞いたことがある…)。
そこで必要なのが、クーラントの温度をリアルに表示してくれる水温計。特に、S660はエンジンがリアにあり、走行風により冷却されにくいこともあり、水温はサーキット走行を行う際にはチェックしておきたい指標の一つとなる。走行モードや季節にもよると思うが、峠をドライブするなら98℃以下で維持したい。サーキットでも最大105℃程度か。
油温計
こちらはエンジンオイルの温度。エンジンオイルは温度により粘度が落ちてくる。これにより油膜が保持できなくなる。高温になると明らかにフィーリングが軽くなる(オイルの抵抗がなくなってシャビシャビになる)という怖い経験をしたことがある。また、オイル自体の劣化も始まるので、サーキット走行などで油温が125℃(@オイルパン。季節や粘度による)を超えたら、私は必ず交換するようにしている。サーキットアタックするときは、一瞬125℃プラスαくらいまでは許容しているが、流石に油膜切れが怖い。夏場で125℃は流石にヤバい範囲と認識しているので、対策は今後必要。公道では105℃〜115℃を超えないように走行するとよいだろう(夏場渋滞等の一瞬は許容)。今までこの管理条件でNB8Cで走行していたが、ブローやノッキングはない。
油圧計
油温とリンクするが、油圧はエンジン内部のオイル圧力。人間でいうと血圧みたいなものか?循環しているオイルがどれくらいの「勢い」でエンジン内部を回っているのかの指標となる。回転数を上げるとそれに伴いオイルポンプが回るので、高くなっていく。
エンジンオイルが高温になってくると、油圧がかかりにくくなってくる。油圧がかからないと、オイルが本来の役割を果たせずブローなんてこともあるので、オイルコンディションの把握や、異常の把握のためには是非取り付けておきたい。
適正は、オイル粘度にもよるが、温感アイドリング時で100kPa(エアコンOFF)程度。回転数を上げていくと、500~600kPa程度。特に、3,000rpm以上回転数を上げたときに油圧がかからない(150kPaを下回る)となったら、何かのトラブルがすでに発生している可能性がある。
ブースト計
エンジンにどれくらいの空気を送っているかを計測できる。ちゃんとブーストが掛かり、かつ、かかりすぎていないか、を計測する。NAエンジンの場合は、アクセル全開で大気圧と同等=0。これを基準として、アイドリング時はマイナス(空気を絞っている状態)となる。ターボ車の場合は、これに加えてプラス(大気圧より多くの圧力をかける)。メーターが+1.0だと、大気圧の2倍の空気を取り込んでいるということになる。あまりにも多くの空気を取り込むとブローする。S660で計測したら、最大0.93kPa程度だった。CPUをセッティングした際にこれらの数値が想定した範囲を超えずに作動していることを把握する事ができる。
取り付けに関する手順
追加メーターの精度確認
メーターを取り付けたが、センサを取り付けた場所により、マフラーの排熱や、エンジンの発熱による熱の影響を受けることが考えられる。また、センサ自体の初期不良(Defiを選んだので、よっぽど無いと信じたいが)などがないことも含めて、今回追加したメーターユニットがどの程度の精度で計測できているのか気になったため、検証してみた。
検証方法
車両には、純正のセンサが搭載されている。これは、OBD通信(診断機通信)で取得可能。よくあるのが、OBDコネクタに接続して水温・ブースト圧を取得するメーター。
OBDデータ取得ツールの取り付け
使用したOBDデータ表示メーターは、BLITZ R-VIT i-Color(すでに絶版、かな)。このメーターにはピークホールド機能やディジタル表示機能がついているので、これを用いることにした。
嫁様のアルトワークスに取り付けたので、そちらを拝借して、S660の純正センサが検出している水温とブースト圧を取得する。
嫁様号からメーターを取り外し
取り外し完了。OBDコネクタとACCに接続。
こんな感じでやっつけ配線。近場を走行し、値が取れればOKなので暫定取り付け仕様。
OBD経由で純正の水温センサ、ブースト圧センサが出力している値と、今回搭載したDefiのメーターが取得した値を比較して、センサの確からしさを計測した。純正センサを正としている理由は、車両制御に使用されている、Hondaで数多くの検証を行って決定したであろう純正のセンサの出力値を真値とするのが現在の制約条件で最も妥当であると判断したため。
水温センサ、ブースト圧センサの値が、純正センサの値と同じならば、センサの取り付け位置や、Defiメーターの値が問題ないと判断できると考えた。
なお、油温、油圧は、重要な指標であるが、残念ながら正解値がわからず断念。こちらについては、日本精機の製造プロセスでセンサの検証を行っていることと、日本精機が推奨している方法で取り付けていることにより、信頼性が確保されているということを拠り所とする他に現段階での検証手法が思い至らなかった(検証した方いましたら情報が欲しいです)。
計測モード
温度、圧力センサの仕組み上、ある特定の温度における絶対値よりも、計測対象の上限値付近や下限値付近の線形性が技術的課題となることが多いため、計測条件は、アイドリング時、暖気後、フルブースト時のブースト圧および水温を比較する。
また、レスポンスについては、データロガーなどに出力するインターフェースが存在しないため、目視での体感確認となる。
暖気時
水温計
純正の水温インジケータが消灯する温度は53℃(OBD出力値。ヒステリシス特性は不明)。Defiのメーターも53℃を指していた。誤差1℃以内で問題なし。
ブースト計
ブースト確認結果。-0.53defiのメーター側の表示と同等だった。
暖気完了後~ドライブ
見にくいが、ディジタルメーターの、オレンジ表示がピーク。水温95℃、ブースト圧0.92hKpa。これに対し、Defiの表示は、0.92で、ジャスト
水温は、Defi側は95℃で、こちらもピッタリ。
ということで、水温、ブースト計の取り出し方法は間違っていなかった事が確認できた。
まとめ
Defiのメーターの誤差は、車両が認識している純正センサの出力値に対して誤差1%以下で値を取得できていると考えられる。実用上問題ないと判断した。
夏場でエアコンON状態。市街地~上りの山道、高速道路を走行したが、市街地走行では、水温は95℃程度、油温は105℃程度で安定。山道上りでブーストをかけていくと、大気圧+93KPa程度。水温は100℃、油温は110℃程度まで上がった。サーキット(特に夏)で高回転を頻繁に使う状況だと、当然もっと上がるので、油温や水温の対策が必要になってくると思われる。
ひとまず「今踏んでいいか」は把握できるようになったので非常に満足している。
今回取り付けた部品一覧
メーター本体
メーターは、楽天でセットで売っていたので、今回は奮発してブースト計(max 2.0)、水温計、油温計、油圧計、コントロールユニットの5点セットで購入した(セット品はAmazonで扱っていなかった)。
水温計アタッチメント
水温は、OBDからではなくウォーターホースにセンサを搭載して取得する。よって、こちらにもセンサーアタッチメントが必要。アッパーホース径が26Φのものがちょうどつく。
シールテープ
メーターの取扱説明書にも記載があるが、漏れ防止のためにセンサーにはシールテープの巻きつけが必要。
オイルセンサーアタッチメント(オイルブロック)
ちなみに、ネジサイズはM20×P1.50。Amazonで扱いがなかったので楽天で。
メーターフード
メーターフードでいい感じに取り付けをしたかったので、以下メーターフードを手配。
メーターフード(センター)
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