先日ついに購入したX-Caliber8にドロッパーシートポスト(単に「ドロッパー」や「ドロッパーポスト」と呼ばれることが多い)を取り付けたので、ドロッパーシートポストの選び方や取り付け方を紹介。特にドロッパーシートポストは種類が多く、様々な全長のものが売られているが、通販で購入する場合サイズ感がわかりにくい。そこで、時分にあったサイズのドロッパーシートポストを選ぶ手法を紹介したい。自己流のやり方なのでホントにこれでいいのかはわからないが、結果として自分にあったサイズのドロッパーシートポストを入手できたので、同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しい。
ドロッパーシートポストとは?
マウンテンバイクでトレイルを走行する時は、上り坂ではサドルを上げて走行したい一方、下りでは基本はペダルの上に立って乗っている状態。特に、お尻を後輪の真上に乗せるくらい後ろ荷重にする時に引っかかるので、サドルが高い位置にあると邪魔になる。また、下りで転びそうになった時に足を地面についてリカバリーすることがあるが、凹凸が多い場所でサドルが上がっていると、足が思うようにつけないのでシートを少し低めにセットしたい。
下り上りの度に、いちいち自転車から降りてサドルを調整するのは現実的ではない。そこで、手元のレバーでサドルの高さを調整することができるドロッパーシートポストの出番である。ドロッパーシートポストを使えば、普段は通常のサドル高(ペダルに踵を付けた時にクランク下死点で膝が伸び切る状態)にしておき、下り坂ではワンタッチで一番下まで下げる事ができる。操作は、ハンドルに取り付けたレバーで行う。サドルからお尻を浮かせてレバーを引くと、シートポストが上昇。座った状態でレバーを引くと、体重でシートポストが下降する。とてもシンプルな作り。
ドロッパーシートポストの選び方
内装式か、外装式か
内装式と外装式の二種類がある。どちらも、ハンドルに取り付けたレバーでシートを上げ下げできるのは変わらない。ケーブルをフレーム内に通すか、フレーム外を通すかの違い。
ご自分のバイクのフレームが内装に対応していれば、内装式を選べば、見た目もスッキリする。私が購入したX-Caliber8は内装式ケーブルに対応していたので、今回は内装式をチョイスした。
ちなみに、昔使っていたGIANT SNAPは内装ケーブルに対応していないため、フレームの外側を這わせる外装式を取り付けてある。
こちらは、街乗りで妻が乗る時は一番下に下げ、私が乗る時は上げて使うという、とても実用的な使い方である。街乗りで信号待ちの際にシート高を縮めるのも便利。
シートポスト径を選ぶ
これは通常のシートポストを交換するときも同じだと思うが、シートポスト径は車両によって異なるので、自分の車両のシートポスト径に合った物を選ぶ必要がある。購入後に他のバイクに流用したい等があれば、シートポストシム(チューブアダプター)と呼ばれるものが売っているのでそれで調整することもできる。
シートポスト径は、カタログなどに載っている。
しかし、一番確実なのは今ついているシートポストを外して現物確認。私のX-Caliber8はシートポスト径は31.6mm。GIANT SNAPは30.9mmだった。ただし、名前は同じでも、バイクの年式により変更あるかもしれないので実測したほうが確実。
シートポストのストロークと全長の選び方
ドロッパーシートポストはその目的から、一番短い時にできるだけ低くしたいし、一番高いときには自分の好みの高さとなるようにしたい。そこで、ドロッパーシートポストのトラベル(ストローク)量と最小長を計算して最適なシートポストを選ぶ。
そこで、自分のバイクの数値を測って、Excelで計算できるものを用意してみた。ダウンロードは下のリンクから(当方でも実施していますが一応、ウィルススキャンをお願いします)。
Excelを開き、↓の薄い赤色のセルを埋める(単位はmm)と、自分のバイクのサイズやシートの高さと、売られているドロッパーシートポストの全長、ロアチューブ長、トラベル量からどのドロッパーシートポストを選べば良いかを計算できるようにしてみたつもりだが、あくまで自己流なので、考慮不足なところがあればご指摘いただけると有り難い。
とりあえず数値だけ試算したいんだけど、って人は、 「Lf(フレーム側シートポスト差し込み最大長)の調べ方 」の項まで飛ばしてOK。それすら面倒という方は、身長175cm前後で、X-caliber8(MY2021)で、内装式対応であればBrand-xのドロッパーシートポストの31.6mm x 357mm 100mm辺を選んでおけば良いと思うが、一度計算してみることをオススメする。
今回採用したドロッパーシートポストは、イギリスの大手の自転車用品通販サイト、 Wiggle(ウィグル)で扱いがあるBrand-X – Ascend 31.6mm x 357mm 100mm 。サイズ違いの外装式をGIANT SNAPにて2年程使用して、製品の品質はとても良かったので今回も採用した。Amazon/楽天では2023年1月現在、扱いがない。
Wiggle(ウィグル)での購入方法は、こちらの記事を参照
ドロッパーシートポストのサイズ選びの考え方
この章では、先程紹介したExcel表を作るため、どのように考えたかを記載する。
ドロッパーシートポストのトラベル(ストローク)量をTrとすると、Trはできるだけ大きい方が下げ幅も大きくなり良いように思うが、Trが大きくなるにつれて、ドロッパーシートポストの下側のチューブ(ロアチューブ)の長さLlも長くなっていく。
通常のシートポストをフレーム内に入れられる最大の長さをLfとする。このLfはバイクにより決まっている。(下図)
ドロッパーシートポストのトラベル量 Trを必要以上に大きくしてしまうとLlが長くなり、Ll-Lfの分はフレームから上側にはみ出してしまう。これでは、せっかくシート高を下げる目的で購入するドロッパーシートポストの効果が小さくなってしまう。そこで、私はフレームから上側のはみ出し量を最小にしつつ、希望の高さを得られるドロッパーシートポストを選ぶ、という考え方で計算した。
Lf(フレーム側シートポスト差し込み最大長)の調べ方
Lfは、予め車両に取り付けられているシートポストを使って計測できる。シートクランプを緩めた状態でシートポストを一番奥まで差し込んだところをマークしておき、シートポスト下端からマーク部分までの距離を計測する。
TREKのX-caliber8 Mサイズの場合、195[mm]だった。
La(シートポストクランプからの希望するサドルクランプまでの長さ)の調べ方
最大高さLaは、ドロッパーシートポストの使用条件として、最適なペダリングができるポジションが良いだろう。これは簡単。普段多くの人がこのポジションになっているはずだから。その1番漕ぎやすいポジションの、ノーマルのシートポストのクランプから、シートポスト上部のサドルクランプのプレートまでの長さを測っている。下図参照。
TREKのX-caliber8 Mサイズに身長174cmの私が乗る場合は、La=185[mm]だった。
Limin(シートポストの最低差し込み量[mm])の求め方
バイクの取扱説明書や、ノーマルのシートポストに記載されていると思われるが、不明であれば50[mm]で計算すれば十分だろう。
ドロッパーシートポストの設計値を入力
ドロッパーシートポストの全長(L)、ドロッパーシートポストロアチューブ長(Ll)、トラベル量(tr)は、ドロッパーシートポストの設計図や商品説明書などから読み取り、入力する。
今回私が取り付けたのは、Brand-Xのドロッパーシートポスト、内装式、ポスト 径31.6mm。
Black 1x Leverだと、サイズは31.6mm x 459mm 150mm、または31.6mm x 412mm 125mm、Black 2x Leverだと、31.6mm x 357mm 100mmの3種類から選ぶことができる。
上記数値は、ポスト径 x 全長、トラベル量を表している.。↑のリンク先をたどると、図面が添付されているのでその数値を読み取り、Excelの「ドロッパーシートポストの設計値」の部分に入力をしていく。ちなみに、 31.6mm x 357mm 100mm は図面がなかったので、Llがわからず、他のサイズ違いのモデルより推定計算している。
シミュレーション結果
私の場合、シートクランプからのサドル高さの最小値LMIN(ドロッパーシートポストを一番下にした時のシートクランプからの高さ)が最小となるドロッパーシートポストは、31.6mm x 357mm 100mmとなることが分かった。これを選べば、希望のサドル長を確保したまま、レバーひとつでシート高をシートクランプから85mmのところまで下げることができることが分かった。
ということで、Bland Xの31.6[mm]×357[mm]×100[mm]で決定。
Wiggleで注文し、2週間程度で納品された。
必要な配線類なども全部セット。
ドロッパーシートポストの取付
取付を開始する。左側にレバーを追加するので、フレームの右側の穴から、付属の配線を這わせていく(下図)。
ボトムブラケットの下側からひょっこり出てくる。
これを、シートポスト側へ這わせる。ドロッパーシートポストのケーブル通すことを想定して車体側に穴が空いている。
これでアウターケーブルは通せたので、次にインナーケーブルを通す。
シリコングリスでグリスアップして通した(ゴム・樹脂製品との接触がある場合には、それらに悪影響を及ぼさないために、シリコン系のグリスを使う)。このへんはクルマ弄る人なら必須のシリコングリスで対応。
車のブレーキメンテに使う耐熱シリコングリス。ちょっと高いが、愛用している。
お安く手に入れたいならこちら。バイクの整備ではこっちを使っていた。
ケーブルにグリスを薄く塗って、あとは、取扱説明書に従って取り付けるだけ。特に苦労せずにちゃちゃっと取り付いた。
ワイヤーを通して、ドロッパーシートポストをセットしたら、ハンドルにレバーを取り付ける。
動作確認して、完成!
計算結果の確認
最後に、シミュレーションした結果通りに取り付いているかを確認する。今回選んだBrand-X ドロッパーシートポストのサイズは 31.6mmX357mm 100mmというもの。シミュレーションの結果、このドロッパーシートポストを選ぶと、シートクランプからサドルのクランプまでの最小値は85[mm]、シートクランプからサドルクランプまでの最大値は185[mm]。
結果は…
一番低い状態で、シミュレーション値85mm 実測値87[mm]
一番低い状態で、シミュレーション値185mm 実測値189[mm]
数mm誤差があったが、おそらく計測誤差だと思う。ということで、私の場合はほぼシミュレーション通りにドロッパーシートポストを選択できた。取り付けも簡単。以前GIANT SNAPにも使っていたが、これは多少の重量増となっても是非導入をおすすめするアイテムである。
今回導入したドロッパーシートポスト
X-Caliber-8の場合
今回採用したドロッパーシートポストは、Brand-XのAscendというモデルの内装式。
外装式の物を、GIANTのSNAPにも取り付けている。SNAPの場合、Lfが十分大きいので、Black – 1x Lever 30.9mm x 400mm 125mm を選択した。
流行っているらしく、同じような商品の扱いはAmazonでもある。
コメント
コメント一覧 (2件)
非常に気になっていたシートポストだったので購入に一歩前進しそうです。
差し支えなければ 乗られているX-CALIBERのフレームサイズを教えていただけませんか?
文鳥様
コメントありがとうございます。ブログも拝見しました。確かMサイズだったと思います。ブログ拝見しました。素敵なカスタムですね。
これからもよろしくお願いします。