クルマのシートを汚してしまって、布の部分を洗浄。ファブリーズなどで対策、というやり方もあるが、今回はシートをバラして洗浄した。この記事では、シートをバラすに至った経緯と、Honda車のシートをバラして座面(下部のみ)を洗浄する方法を紹介する。
深夜のドライブでコーヒーこぼした
しばらく長雨が続いていたので、久しぶりの晴れの週末。多少は雲が出ているが、月が綺麗だったのでいつもの峠道に夜のドライブに出掛けた。
ここまでは良かったのだが…休憩途中、水筒で持参したアイスコーヒーを飲み、その水筒を助手席に。で、しばらくしてまたコーヒーを飲もうとすると、シートが濡れて。水筒は空っぽ。水筒の蓋を閉め忘れて全部シートにこぼしてしまった事に気づいた。ちゃんとドリンクホルダーに置けばよかった。
使ってた水筒は、これ。蓋を回転させると飲み口が出てくるので、とても重宝している。しかし、リンク先の説明書に以下のように記載されている。
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実際、今まで横にして漏れたこともないし、夏はアイスコーヒー、冬はホットコーヒーを持ち運ぶのに丁度いいやつなんだけど、まさか蓋を閉め忘れるとは…
助手席のバラし作業ミスで着座センサ断線
慌てて家に帰り、ウェスで拭き取ってみてもまだ湿ってる。コーヒーの匂いも車内に充満してたので、シートを取り外して洗浄することにした。しかし、早く洗いたくて焦ってしまい、分解途中にブチッって音が…シートベルトリマインダースイッチ(圧力センサ)のフレキシブル基板のところを切ってしまった。
焦ってバラすと二次災害起こす典型例。助手席にシートベルトリマインダーが装着されている車両で、シートカバーを取り外そうとしている方では、注意いただきたい。
シートベルトリマインダスイッチ(圧力センサ)
バラしの説明の前に、 シートベルトリマインダスイッチの概要から。助手席には「シートベルトバックル」「 シートベルトリマインダースイッチ」「サイドエアバッグ」がついている。さらに、シートヒーターがついている場合もある。このうち 「シートベルトリマインダースイッチ」は、助手席にだけ装備されている。
今回誤って切断してしまった シートベルトリマインダースイッチ は下のイラストのような配置となっている。仕組みは単純で、助手席に人が座っていることを圧力センサで検知。助手席に人が座っている、かつシートベルトが装着されていないと判断された時に、メーターへの表示と「ピーッピーッ」って警報を出す「シートベルトリマインダ」という機能のためのセンサである。なお、運転席には必ず人が座っている前提なので「 シートベルトリマインダースイッチ 」は装着されていない。
今回のようにシートベルトリマインダースイッチ が断線した場合、「人が座ってない」と認識され、シートベルトリマインダの警報が抑制されるだけなので、断線したままでも車両の安全性に問題ないと思ったが、確か義務化されたような…と思って念の為調べてみた。
シートベルトリマインダーの保安基準適について
(2)座席ベルトに関する改正(保安基準第 22 条の3、細目告示第 30 条、第 108 条、第186 条関係)座席ベルトに係る協定規則(第 16 号)」が改訂されたことに伴い、座席ベルトが装着されていない場合にその旨を運転者に警報する装置(以下「シートベルトリマインダー」という。)について、当該装置を備えなければならない自動車及び座席の範囲を拡大※1します。
国土交通省自動車交通局プレスリリース https://www.mlit.go.jp/common/001189693.pdf
※1 現行の規定では乗車定員 10 人未満の乗用自動車及び小型又は軽の貨物自動車の運転者席のみ対象
【適用範囲】○ 自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車及び最高速度 20km/h 未満の自動車を除く)
【改正概要】○ 自動車の運転者席及び助手席並びにこれらと並列の座席について、イグニッション ON 時非着用の場合に表示で警報を、走行時非着用の場合に表示及び音で警報を行うシートベルトリマインダーを備えなければならないこととします。※2
【適用時期】新型車:平成 32 年9月1日
詳細は、https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000007.htmlの第22条を参照。
S660は前期型と後期型で型式が変わっている。平成27年に型式認定された前期型(DBA-JW5)は上記保安基準適用外=シートベルトリマインダーが動作しなくても問題ない=センサ切れててもOKっぽい。
一方、令和元年型式認定の後期型(3BA-JW5)はこの基準が適用される。つまり、S660後期型では、センサ切れによりシートベルトリマインダーが作動しない状態だと、道路運送車両の保安基準不適合となってしまう(=車検通らない=違法改造)。すなわち、S660後期型はシートベルトリマインダーは車検通すために必要と解釈した。
ちなみに、S660後期(車検証に記載の型式が3BA-JW5)の場合は、運転席は問題ないが、助手席をバケットシートなどに変えた場合、道路運送車両の保安基準に適合させるためには、この着座センサ移植しなきゃいけないことになる。
以上はあくまで私の理解です。詳しい人、認識違ったら指摘コメント下さい。
運転席側のバケットシートへの変更の記事はこちら
部品購入
ということで、新品のシートベルトリマインダースイッチを購入。この シートベルトリマインダースイッチ (着座センサ)はシートのスポンジクッションに貼り付けられているので、セットでの購入となる( 81537-TDJ-F01 パツドCOMP.,L.フロントシートクツシヨン(ベルトリマインダースイツチツキ) )。お値段¥10,000也。なお、「 Cクリツプセツト,トリムフアスナー(30コセツト) 」は シートカバー交換する時に必要。
自分のミスなので仕方ないが、全然テンションが上がらない部品が届いた。これを取り付けていく。
しかし、前述したとおりバラす時は写真撮っていないため、取り付け作業の際に撮った画像を使って助手席の座面(底面)のバラし方を説明する。
助手席の座面(底面)の分解方法
屋根をオープンにしておくと作業が楽。
シートの取り外し
シートベルトのガイド(肩の部分)のボタンを外してシートベルトを助手席から離す。次に、助手席を止めているボルトとナットを取り外して、シートを浮かせる。
シートを浮かせたら、下写真の→に爪があるので押してカプラを抜く。黄色いカプラはサイドエアバッグのカプラなので、クセ強め。黒い部分を手前方向にスライドさせて抜く。次に、赤丸部分でシートに固定されているツメをラジオペンチで抜く。
周りにぶつけないように注意しながらシートを車外に出す。
シート座面の取り外し
側面、シートベルトバックルのそばにプラスチックのクリップを外す。
反対側はプラスネジで止まっているカバーがあるので、それも外しておく。
下図赤◯部分を外す。プラスチックなので、裏側から指でグリグリやったり、内装剥がしを使ったりして破損しないように慎重に。内装剥がしの使用をおすすめする。次に下図の赤四角部分を外す。
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あとは、座面をシート手前方向に慎重にずらして引き抜く。
この時、下写真の赤丸のところに、金属製のリング状のC型クリップが付いている。まずは、これを外す。リング状のクリップは再使用不可なので、Honda純正部品 04810-SB3-000 Cクリツプセツト,トリムフアスナー(30コセツト) ¥320が必要。
リング状の C型クリップ を外すツールはコレがおすすめ。楽天で買うのが安いかな。
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握ると開く仕組み。バイク整備する人ならお馴染みのツールかもしれない。その昔購入したもの。コレを使って開くと、簡単に取れる。
同じ要領で、下記赤◯14箇所外す。特に、シートカバーやスポンジを再使用する場合は、シートカバーをめくりながらなので結構しんどい。きれいに取れるツールを使うとよい。
シートカバーを外したら、洗濯ネットに入れてカバーを洗濯。
シートカバーの取り付け
綺麗になったカバーを取り付けていく。洗濯した後のいい匂い。
シートクッションに、新品のC型クリップで取り付ける。
はじめにペンチで若干潰しておくと良い。
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次に、クリップをシートクッションの金属の部分に通す。
ラジオペンチでギュッとカシメる。いい感じ。たくさんカシメしなきゃいけないので大変。
KTCの工具は精度良く使いやすいので、こういう作業でも比較的楽にこなせるので愛用している。
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後は、バラした逆の手順で組み立て。シートクッション裏の二箇所も忘れずに。
動作確認
シートが取り付いたらエンジンを掛け、運転席側のシートベルトをする。この時、助手席に座らない状態で、シートベルトリマインダのサインが消えていることを確認。その後、助手席座面中心部を押してシートベルト着用のサインが点灯すればOK。
まとめ
・シート清掃しようと思ったら、シートベルトリマインダースイッチのフレキ配線切っちゃった。交換には、シートクッションごと交換が必要になる。シート清掃の際は慎重に
・確信持ててないが、 平成 32 年9月1日以降に型式認定された車両=令和元年型式認定の後期型(3BA-JW5)はシートベルトリマインダーが必須となっているようだ。すなわち、シートベルトリマインダースイッチは車検必須の装置っぽい。
・後期型S660で助手席をバケットシートなどの車外シートに変えた場合は、スポンジからシートベルトリマインダースイッチを剥がして移植する必要がある(もしくは、車体側カプラに200Ωくらいの抵抗を噛ませて「常に人が座っている」ように認識させれば問題ないのかな?ただしコレだと、助手席に人が乗っていない時でも常に警報がなるようになってしまうが)。
・ところで、後席含めて当然家族全員がシートベルトするので、シートベルトリマインダーって、私にとっては全く不要な装置である。「ついうっかり」シートベルトしないで乗ることはないし、助手席に荷物を置くと、人が乗っていてシートベルトしていないと誤検知するし、壊したら余分な出費(←これは自分のミスだけど)。
今回は思わぬ整備ミスで余分に出費してしまったが、シートになにかこぼすシーンは子供がいればよくあるパターンであるし、シートは、使っていれば汚れてしまうものだ。手間はかかるが、清掃したいならファブリーズするより、洗濯しちゃったほうが確実。シートクッションも掃除できるので、中古で購入した車や、長年シートに染み付いてしまった臭いも取れるはず。ホンダ車であれば仕組みは大体共通で、フリードも同じような仕組みなので今度大掃除してみよう。
購入した部品
部品番号 | 品名 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|
81537-TDJ-F01 | パツドCOMP.,L.フロントシートクツシヨン(ベルトリマインダースイツチツキ) | ¥10,000 | (後期用) |
04810-SB3-000 | Cクリツプセツト,トリムフアスナー(30コセツト) | ¥320 |
作業工具
内張りはがしは安いので良いので、内装やるなら揃えておきたいアイテム。
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C型クリップを外すときに使った。握ると開くタイプ。本来はブレーキなどに使われているスナップリングを取り外すために使うツール。
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金物を摘んだりカシメたりでよく使うツール。KTC製が精度高くて好き。
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