アメリカの雪道ドライブでは、日本とは異なり「M+S(Mud and Snow)」タイヤが一般的に使われている。これは泥や雪道での走行をある程度考慮したオールシーズンタイヤで、アメリカの新車には標準装備されることが多い。本記事では、アメリカでの雪道事情とM+Sタイヤの性能、雪道運転のポイントについて解説する。
気温
現在私が住んでいるミシガン州の緯度はおおよそ北海道と同じくらい。最低気温はマイナス18℃(マイナス1℉)以下になる。

一旦雪が降るとしばらく溶けない。ちなみに湖も凍るので、冬は湖の上をクルマで走ることができる。下の画像は凍った湖の上から陸地を撮影したもの。無数のタイヤ痕があるが、走行は自己責任だ。

夏も冬も、純正でついてくるタイヤ(M+S)で走行
日本のようにスタッドレスタイヤを履いている人は本当に稀だ。スタッドレスタイヤもタイヤショップでは売っておらず、多くの人は純正でついてくるタイヤで走行する。
アメリカではメインの道は雪が降ると即座に除雪車が走るので、これでも問題ないのだろう。

フリーウェイ(高速道路)のランプ。雪が降ったばかりだが、融雪剤と除雪車により路面に雪はない。

ただし、住宅地の道路(サブと呼ばれる)や、メインでない道路では、除雪されていない。
注意すべきことは日本でもアメリカでも同じ
州により異なるが、ミシガン州ではフリーウェイの規制速度は70mph(112km/h)が多く、郊外の幹線道路の多くは55mph(88km/h)~60mph(95km/h)。普段は制限速度+αで流れているが雪が降ると大体制限速度程度で流れている。

雪が降った直後は、調子に乗って刺さるクルマが続出する。路肩に乗り捨てられているクルマもちらほら。

そんなことにならないために、
- 車間距離を通常より多くとり、急のつく操作はしない。
- カーブ手前で十分減速。特に下り坂のコーナリング中はアクセルを急に抜くとリアの荷重が抜けてスピンモードになるので控える。
- ブレーキも0.3G以下に抑える運転をする。
このあたりの基本を押さえておけばよいだろう。
純正タイヤは、そういったアメリカ事情を鑑みて、M+S(Mud and Snow)すなわち、泥と雪道もある程度ならOKなものを装着していることが殆どだ。
オールシーズンタイヤの性能は?
私のクルマ(CR-V)の純正タイヤは、ブリヂストンのエコピア H/L422 PlusというモデルでM+Sの刻印がされている。

M+Sのトレッドパターンを見てみると、泥は走れそうなものの、雪となるとやっぱり一抹の不安が残るパターンだ。日本のスタッドレスタイヤのように深くて柔らかい溝はない。

日本でも最近はオールシーズンタイヤとして発売されている物があるのだが同じようなグリップと考えてよいだろう。
一番大事なのはタイヤ
アメリカでは入手しづらいためオールシーズンタイヤで乗り切るものの、本当は日本のようにスタッドレスタイヤが欲しいところだ。ちなみに、日本のスタッドレスタイヤは、M+Sの分類だが、それに加えて雪道走行に適格であるSnowflakeマーク(雪の結晶のマーク)が刻印されている。アメリカではスノータイヤとして売られている。性能は普通のM+Sに比べて段違い。
国産であれば個人的にはDUNLOPがコストとパフォーマンスのバランスが優れていると思う。

ただ、日本でめったに雪が降らない地域に住んでいると、スタッドレスタイヤの出番は年に数日あるかないか。一方、スタッドレスタイヤの寿命はゴムが硬化するので最大でも5年程度。そうすると、コスパの良いオールシーズンタイヤというのも地域によっては選択肢になるだろう。日本では、そういったニーズに応えるオールシーズンタイヤも発売されている。試してみるのであれば、以下のサイトが安い。
まとめ
アメリカ・ミシガン州の冬道事情について紹介。最低気温は-18℃以下になり、湖も凍る厳しい環境だが、ほとんどの車は純正のM+S(Mud and Snow)タイヤを使用し、日本のようにスタッドレスタイヤを履く人は稀でスリップ事故も発生しやすい。雪道運転の基本は、車間距離を広くとり急な操作を避けること。日本の雪道ではスタッドレスタイヤが理想だが、雪がめったに降らない地域ではオールシーズンタイヤも選択肢となる。
雪が降らない地域に住んでいる方にとっては、雪道のドライブは、ちょっとした「冒険」になると思う。以下は、日本の雪道走行の基本と楽しみ方をまとめているので参考にしてみてほしい。

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