多くの人が迷うであろうスマホの置き場。Zoomエンジニアリングのスマホホルダーを運転席右側に設置。また、充電しながらのスマホ使用を可能とするために、12V→5VのDC/DCコンバータを用いて充電用電源ユニットを作成。運転操作のジャマにならない様にスマホ充電ケーブルを取り回した。
S660はあまり遠出には向かない(荷物も乗らない…)が、200km程度のドライブなどにも対応できるように、スマホをナビとして使うことを目的としてスマホホルダーを検討。取り付ければいいか~などと軽く思っていたが、消費電力が高い最近のスマホに対応するため結構大掛かりな作業になってしまった。
スマホの置き場所とホルダー選定
スマホホルダーは、ダッシュボードに吸盤で貼り付けるものや、センターコンソール助手席側のネジ穴を使って取り付けるものなどが見つかった。ダッシュボード吸盤貼り付けは、外気温変化で剥がれたり、視界を遮ったりするので見送り。センターコンソールの助手席側のネジ穴を使う、というのも良いアイデアとは思うが、それなりの長さとなってしまうので、振動を抑制するのが難しそう。結局、どちらも自分の好みには合わず。
置き場所について
センターコンソール側に置く例が多い理由は、電源の取り回しが関係していると思われる。純正のUSB取り出し口はセンターコンソールにあり、そこから電源を取ろうとすると、センターコンソールにスマホホルダがあったほうが楽だからであろう。しかし、最近の消費電流の大きいスマホをナビとして使う場合には、純正のUSBポートでは電流量が足りず、すぐ電池がなくなってしまう。また、センターコンソール付近はシフト操作やエアコン操作、ハザードボタンなどがあるために手が動く範囲が大きく、レイアウトが難しい。とすると、右側のエアコン吹出口に取り付けるのがいいと思うのだが、今度は「充電しながら使う」ためにはケーブル取り回しが大きくなる。そこで、スマホ充電用の電源を、運転席右側に増設する。
Zoomエンジニアリングのスマホホルダーを利用
以前NBロードスターで使用していたZoomエンジニアリングのスマホホルダーを使ってみた。
ロードスター乗りやMini乗りの間では「定番」のやつ。設計が良いので、定期的にメンテ(ネジが緩んできたら締めてあげるなど)してあげれば長いこと使える。この標準フックのものが、S660の運転席右側のエアコン吹出口にピッタリつく。ウィンカーの操作にも妨げにならないギリギリといったところ。
ちなみに、センターのエアコン吹出口にも付けてみた。こちらでも問題なく装着可能だった。
センターだと、電源の取り回しに苦労しそう(見えない配線が難しい)だが、横向きで使用する場合はこちらのほうが良いかも。
電源の増設
電源の取り出し方法
電源の取り出しには、オプションカプラを使うのがスマート。以下記事を参照。
これで、アクセサリ電源が取得できているので、それをUSB電源に変換する。今回は、長く使うことを考えて電源の安定性・回路の耐久性を向上させたかったため、ちょっと手間を掛けた電源を作ってみようと考えた。また、純正のスイッチに空きがあれば(私のS660は、VSA OFFスイッチの隣が空いていた)そこに埋め込むという手もあるが、右足の周辺にケーブルなどはできる限り配置したくないとのことから、配線をインテリアパネル裏側に隠す方式で検討を進めた。
スイッチングDC/DCコンバータ電源の作成
USBの充電には、車両から供給される12V(IG-ONすると14V弱まで上がる)電源を、5Vまで落としてやる必要がある。そこで、DC-DCコンバータを作成して12Vを5Vに変換した。手持ちの在庫品に秋月電子で割と長く売っているKIC-053があったのでそれを利用。300円也。その他周辺の回路部品は、1000μF-50Vのコンデンサ3つと、0.1μF-50Vのコンデンサ2つを配線すればOK。以下の回路図通りに組むだけ(下記回路図のVadjは利用しない)。
上記の通りにハンダ付けしてやれば完成。高G環境でも部品が取れないように、ホットボンドで周りを固めておいた。
テストのために12V入力してやると、5Vが出力されていることを確認。ここに、 スマホ充電ケーブル を直接つないでやれば、スマホの充電が可能である。
スマホ充電ケーブルの作成
充電用のケーブルを電源に接続できるように改造する。100均で買ってきたケーブルを切断する。このケーブルを車載ケーブルとして用いる。
充電器に挿さる側で、念の為、端子の確認を行う。被覆の赤が+、黒がーであることを確認。
切断した充電ケーブルを改修し、コネクタを取付。電源のコネクタと結合するように配線。
使用したコネクタは090の非防水2ピン。
コネクタの作成方法については、以下記事に記載している
電源の取り出し方法は、以下記事に記載している。
コネクタを結線して、机上のテスト環境で電流値を計測、その後、実際にスマホでテスト。
どうやら、うまく充電されているようだ。
(余談)三端子レギュレータでの失敗例作
実は、前に別の方法でトライしている。作成が簡単だし手持ちがあったという理由で、三端子レギュレータ7805を使って電源の取り出しを行ってみた。しかし、テストで作ってみると、充電は可能だが放熱フィンをつけても表面が「熱っっ!!」ってなるくらいまで加熱してしまった。最近のスマホは2A で充電できる物が多いため、3端子レギュレータだとあっという間にMAX容量となってしまう。部品点数も少なく、価格も安く、小さくできるが、放熱フィンをつけても触れない程熱くなった。この方法は、ちゃんと熱マネジメントして、電流容量の計算をしての使用なら良いかもしれないが、そのままスマホ充電用に使うのはおすすめできない。
車両搭載ステーの作成
電源ができたので、車両へ搭載するためのステーを作成する。基板を適切な大きさに切り取り、取付用の穴をあけ、取付用のステーを作成。部材はホームセンターで調達。1[mm]のアルミ板が加工しやすい。
取付用のステーの完成。アルミ板を金切りバサミで切り出して作成。
これに、電源ユニットを搭載。細かいネジ類は200円もあれば手に入る。
上部にもカバーを作成して取り付ける。この手の加工、あまり得意ではない…うまく曲げができない。金属加工をうまくこなせる人、尊敬する。素人の万力での加工はこれが精一杯。
車両への搭載
アンダーパネルのステー(ヒューズボックスのドライバ側のステー)に固定する。事前に角度とクリアランスを測っておいて、以下場所を想定してステーを作成している。運転席のアンダーパネルを外すと見える。ここに穴が空いているので、ネジでとめる。
搭載完了。ここなら、他部品との干渉もない。結構ギリなレイアウトとなっている。やはり狭いが、ちょうどピッタリのサイズで搭載できた。上部には若干余裕あり。
車両からの電源は取り出し済みなので、そこに結線して動作確認後にパネル類を戻せば完了。車両電源側のヒューズは、絶対必要。今回は5Aで作成した。電源搭載のすぐ上がスマホホルダーなのと、ヒューズボックスから配線をとっているので配線も最小ですむ。また、取り外せばそのまま純正状態に戻せる。
スマホホルダーも夏場はクーラー吹出口となるため、充電時のスマホの熱は心配がない(冬場は足元からヒーターが出るような使い方が多いので、問題となりにくい)。また、運転操作の妨げにもならない。さらに、スイッチングDC/DCコンバータ電源であることで、発熱も問題なし。容量も3Aなので、使いながら充電すると給電容量が足りなくて充電できないなんてことは全く無く、余裕を持って充電が可能。安定性も高い。苦労した甲斐があった。
ちなみに、オプションカプラから電源を取得している外部電装品はこちら↓
簡単にUSBポートを増設するなら、こんなやり方も
オプションカプラから12Vの取り出しが完了している場合、検索すれば12Vから5Vを取り出せる商品が色々出てくる。今回は電源ユニットを自作をしたが、それが面倒でという方には、最近はUSBの接続コネクタを持っているものを利用するのも手。こういったものを使うと、キレイに作れる。出力容量は自分の使うデバイスに合ったものを選ば、既製品を使って作るのが簡単。
エーモンからもUSBポート増設のキットが出ている。USB電源を運転席側から取得したい場合には、こういった部品を組み合わせて必要なUSBポートを増設すると、純正から最低限の変更でスマホを利用できるのでご参考まで。
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