フリード(GB3)のドラムブレーキシューの交換

我が家のファーストカーであるフリード(GB3)。購入から13万キロ以上走行している。リアブレーキから鳴きが出てきたので、ドラムブレーキのシュー(ディスクブレーキでいうパッド)の交換と、ドラムブレーキ周りのグリスアップを実施した。フリードやFITなど、Honda車のリアブレーキはドラムが使われているモデルがあるので参考になればと思う。

目次

ドラムブレーキのメンテナンス

実は、ドラムブレーキのメンテは今回が初めて。ディスクブレーキに比べて部品点数が多いのと、仕組みがイマイチよく分からなかったので敬遠していたのだった。前回車検の際にドラムピストン周りはディーラーでOHしてもらっていたが、その際はシューの残量も問題ない範囲だった。ところが、最近リアブレーキ周辺から「キーッ」っていう音が出るようになってしまった。サーキットをメインとする車両ならブレーキ鳴き上等!(効くブレーキ程よく鳴く!)で全然気にしないのだが、家族車となるとやはり静かな方がいい。

フロントはパッド交換をしているが、リアブレーキシューはもう10年も変えていない。残量は前回車検の前に実施した点検で3.5[mm]程度あり、全く問題なかったが、思い切って交換することにした。

ブレーキシュー

用意したシューは、こちら↓のセット。国内メーカーで¥4,000程度のお値打ち品。ちゃんと効く。

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ラバーグリス関連

モリラバーグリスであれば、ラバー兼用とあるので、ブレーキ関連のグリスはこれ一本で問題ない。

余ってたWako’s耐熱シリコングリスがあったので、ブーツゴムにはWako’s、それ以外はモリラバーグリスを使ったが、これは好み。正直、高いと思う。

Uクリップ

分解の際に必ず交換する部品は、Uクリップ。一応、ウェーブワッシャーも交換しておいた。ディーラーで手に入れるのが安くて簡単。

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Uクリップとウェーブワッシャー
Uクリップとウェーブワッシャー。ディーラーで購入するのが手っ取り早い

ブレーキドラムの外し方

パーキングブレーキの踏む間隔を覚えておく。何ノッチでペダルがロックするのか?を覚えておくと、シューを交換した際の調整の不安がなくなる。

次に、ジャッキアップを行う。このとき、インパクトを使わないのでホイールナットは緩めるだけで外さない。

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次に、ドラムブレーキのブレーキドラムを外すのだが、この時に「必ずパーキングブレーキ(サイドブレーキ)を解除しておくこと」。解除されていないと、ドラムが外れない。

ブレーキドラムの外し方

ブレーキドラムを取り外すため、以下の場所にM8のボルトを均等に締め付けていくとドラム部分が外れてくる。ある程度外れると、手で引き抜くことができる。

以降、ドラムを再び組み付けるまで、ブレーキペダルを踏んだり、パーキングブレーキをかけたりしてはいけない。外側で踏ん張るドラムがない状態でブレーキを踏むと、ブレーキシューがバラバラになってしまうため。

ブレーキドラム取り外し
M8のボルトを上記の通り差し込んで、締め付けていくとドラムが浮いてくる

ブレーキドラムが外れた。ブレーキシューが見える。下写真は、左後輪のもの。なお、ドラムを再利用する時は、外したときと同じ穴にハブボルトを通したいので、下図ではハブボルトにピンク色のマーキングをしている。ドラム側にも同じように印をつけておいた。

ブレーキドラム取り外し

ドラムブレーキはディスクブレーキと比べて部品点数が多いため、取付の際にバネやシューの付向きを振り返るために、写真を撮っておくことを強くオススメしたい。また、左右どちらかを完了させるまでもう片方をバラさないことで、困ったら反対側の構造を見て参考にすることができる。

ブレーキシューの取り外し

準備が整ったら、ブレーキシューを外していく。

テンショナーピンの取り外し

下図◯を取り外す。車体の内側方向に押しながら、先端のピンを回転させて抜く。抜いたピンは裏側から引き抜ける。

ドラムブレーキシューの交換(ピン取り外し)

シリンダーの溝からシューを取り外す

シリンダーの両端から、シューの上端を外す。これはバネになっているだけなので、両側に引っ張れば外れる。外れたら、シリンダー本体や周辺のゴム部品(下写真)に傷がつかないように注意する。

ドラムブレーキシューの交換

この後ブレーキシューを引き抜くのだが、Honda車の場合ハブを外さなくてもメンテできる構造になっているが、ブレーキを引き抜くクリアランスがあまりない。そこで、知恵の輪のブレーキシュー一式と格闘している間にブレーキ部品でゴム周りに傷がつくのを避けると嫌なので、ウェスで覆って作業した。

シューの上側が外れたら、今度は下側のバネを外す(下写真赤◯)。

ドラムブレーキシューの交換

あとは、ハブとバックプレートの隙間からシューを取り出す。間隔が狭いので、ひねったり、かわしたりしながら取り出す。

取り外すと、下写真のように、サイドブレーキのバネが接続されている。ここでサイドブレーキのバネを外す。

ドラムブレーキシューの交換(パーキングブレーキケーブル取り外し)

引っかかっているだけなので、スプリングを縮めてズラせば取れる。

ドラムブレーキシューの交換(パーキングブレーキケーブル取り外し)

アジャスタースプリング・アジャスターレバーの取り外し

これでシューが外れた。次に、アジャスタースプリングを取り外す。下写真のバネ。これを取り外すと、付随してアジャスターレバー(バネで抑えられている部品)も外れる。

ドラムブレーキシューの交換(アジャスタースプリング取り外し)

パーキングブレーキレバー取り外し

パーキングブレーキレバー(下写真の銀の金具)を取り外すため、まずはUクリップをペンチでこじって広げ、取り外す。

ドラムブレーキシューの交換(Uクリップ取り外し)

メインスプリング取り外し

最後に、メインのスプリングをマイナスドライバーでこじって外す。

ドラムブレーキシューの交換(メインスプリング取り外し)

これですべての部品がバラバラにできる。再使用しないシューとUクリップ以外は、綺麗に洗浄。バックプレート側(車両に取り付いている側)も洗浄しておく。

ドラムブレーキシューの交換(パーツ清掃)

組付け

洗浄が完了したら、グリスアップして組み付け。ブレーキシューの外周に養生テープを貼っておくと楽。下の写真だと貼り方が雑だけど、剥がすことを考えると綺麗に貼っておくのが良いだろう。こうすることで、グリスがシューにつかないための配慮ができるのと同時に、私のやり方だと、アジャスタースプリングを組む(後述)時に便利ってのもある。

ドラムブレーキシューの交換(組付け)

Uクリップの組み付け

Uクリップは、分解時交換の指示がある部品なので必ず交換。摺動部はグリスアップ。ウェーブワッシャーは100円もしなかったので、ついでに交換しておいた。

ドラムブレーキシューの交換(組付け)
ドラムブレーキシューの交換(Uクリップ組付け)

アジャスターの組付け

下写真◯の各所にグリスアップしておく。これは組み付ける前の処理。アジャスターのネジの中もグリスアップしておく。

ドラムブレーキシューの交換(アジャスタ組付け)

ここからが、最大の難所だと思う。まずは上記の写真のバネと、コネクティングロッド(上写真中央の銀の部品)を所定の位置にセットし、シューに引っ掛ける。そして、仮組み状態で、ブレーキシューと、それに引っ掛けたバネを引っ張りながらアジャスターにコネクティングロッドを入れる(下写真矢印のように)。

ドラムブレーキシューの交換(メインスプリング組付け)

嵌った!次に、部品を元通り組み付け。下写真◯はグリスアップ箇所。

ドラムブレーキシューの交換(メインスプリング組付け)

パーキングプレーキワイヤーの取り付け

ここは、バラした逆の手順で取り付ければ特に問題ないはず。

ドラムブレーキシューの交換(パーキングプレーキワイヤー組付け)

バックプレートのグリスアップ

バックプレートの出っ張っている部分(下写真の点線上にある)にグリスを塗れば良い。及びシリンダーの両端にグリスアップしておく。ちなみに、ばらした時は清掃前にもかかわらず、グリス完全に飛んでた…

ゴム部品は耐熱シリコングリスを薄く塗布。

ドラムブレーキシューの交換(グリスアップ)

ブレーキシューの組付け

バラしたのと逆手順で組んでいけばOK

ドラムブレーキシューの交換
ドラムブレーキシューの交換
ドラムブレーキシューの交換

最後に、ちゃんと組まれているかよ~く確認しよう。まだ、ここではブレーキを踏んではダメ。せっかく組んだブレーキが吹っ飛んでいくので注意。

問題なければ、ブレーキドラムを戻して、完了

ドラムブレーキシューの交換(完成)

最後に、ブレーキドラムを装着してウマから降ろして完成。逆側も同様の手順で組み込む。その後、調整を開始する。

動作確認と自動調整

組み付けたばかりのドラムブレーキは、思い切り油圧をかけてもドラムとシューの面圧が出ていない状態なので、自動調整機構を用いて調整する。なお、走行を開始する際にはブレーキ動作が弱いことを考慮して、必ず徐行しつつ動作確認すること。着地したら、自動調整機構を用いて調整していく。

1)シフトレバーはパーキング状態

2)エンジンを掛ける

3)パーキングブレーキをかける(取り付け前と比べて、だいぶ奥にパーキングブレーキが重くなるポイントがあるはず)

4)思いっきりブレーキを踏む。足が痛くなるくらいまで踏む。一度ブレーキをリリースしたら再度、思いっきりブレーキを踏むを繰り返す

5)パーキングブレーキを解除

6) 4)を行う ブレーキの踏みごたえが変わってくるので、それまで繰り返す

これで、自動調整機能により、リアブレーキのクリアランスが調整されているはず。もし変化なければ、ドラムブレーキのアジャスターを組み間違えているかもしれないのでバラして確認する。

7)徐行状態(クリープで進むレベル)でブレーキを踏んでみて、交換前と同様の間隔で止まれるか、ペダルタッチに問題ないかを確認する

8)20~30km程度、慣らし運転と感触の確認を行う

最終的に、パーキングブレーキが大体6~7ノッチ程度で効くようになればOK。

インプレッション

そもそも、リアブレーキはそれほど減らないのであるが、異音が出ていたのと、グリスアップを行いたかったので、今回はブレーキシューも交換した。ブレーキシューは社外品を調達した。特に不満はなく、狙い通り異音が消えたのと、これからしばらく交換しなくて良い(走行距離20万km以上は無交換で行けそう)という安心感。

車中泊にも使えるし、自転車もタイヤも運べる便利なフリード。10万kmを超えたので、流石にメンテナンスが必要な項目が増えてきたが、楽しんでメンテしていこうと思う。

今回使用した部品やツール

ブレーキシュー

MKカシヤマ(エムケーカシヤマ)
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ラバーグリス、シリコングリス

ブレーキ関連のメンテナンスを行う際には必ず塗布の指定があるので必要なグリス

↓はWako’s製。お好みでゴム部品にはこちらを塗布しても良い

Uクリップ

以下は、通販で買うと送料高いのでディーラーで買ったほうが良いと思う。

43375-SA0-003 Uクリツプ 必要数2 ¥165/個 …必ず交換
43379-SA5-003 ワツシヤー,ウエーブ 必要数2  ¥95/個  …ついでに交換

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