基本中の基本、エンジンオイルの選び方

車整備の定番、エンジンオイル交換。量販店では、多くの種類のオイルが売られているし、価格も千差万別。車に最も適したオイルは何か?を、考えてみた。

目次

結論:メーカー推奨のオイルが一番安心

最近の自動車メーカーでは、燃費性能を確保しながら、耐久性を維持できるエンジンオイルを開発しているし、車両開発の現場では当然、メーカー純正のエンジンオイルを用いて過酷な耐久テストを行っている。よって、通常の使用範囲においては、自動車メーカー純正のエンジンオイルを、メーカーの推奨交換サイクルに従って交換していくのが最も「安心」であると思う。

例えば、Honda S660であれば、

純正および市販のエンジンオイルは、外気温に応じた粘度のものを(中略)お使いください。

Honda 純正油

• Honda ULTRA LEO 0w-20

• Honda ULTRA LTD 5w-30

市販エンジンオイル
API SM 級以上かオイル缶にAPICERTIFICATION(エーピーアイサーティフィケーション)マークの入ったエンジンオイル

https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/s660/2019/details/13697090-11497.html

とある。日本の通常の仕様範囲内であれば、0w-20だとうが、5w-30であろうが、どちらでも良い、ということである。ということで、特にこだわりがなければ、メーカーの説明書に従って車両にあったエンジンオイルを選べばいい。元も子もない結論だが、メーカーが莫大な費用をかけて開発しているオイルを使うのが、もっとも安全と思われる。

じゃあ、なぜ他のエンジンオイルを選ぶのか?その前に、エンジンオイルの役割について。

エンジンオイルの役割

まず、エンジンオイルって何のためにあるのか?どういう役割をしているのか?について。私の知識では、エンジンオイルの大きな役割は以下3つ。

潤滑

エンジン内部は、複数の「摺動部」が存在している。例えば、ピストンとシリンダーはどちらも金属で、アイドリング時でも常にピストン(ピストンリング)はシリンダー内部を動き続けている。このとき、金属と金属が直接擦り合わされると、シリンダー表面が傷つき、性能が劣化していく。
エンジン内部の様々な部品は金属でできており、それらの「摺動」に対し、摩擦を低減することで、エンジンを長持ちさせる。

気密

ピストンとシリンダーの間には、わずかに隙間が存在している。その隙間を、エンジンオイルが「埋める」ことにより気密性を確保し、燃焼を正常に継続させる

冷却

ガソリンが爆発するとき、ピストンの温度は200度程度になるという(と習った)。その熱を、オイルが吸収し、エンジンを冷却する。

この他にも、google先生によると、エンジンの洗浄、防錆、腐食防止、のような事が書かれていた。このように、エンジンオイルの果たす役割は多種多様であり、各社様々な種類のエンジンオイルが売られている。

オイルの粘度

ということで、例えば5W-30であれば、5Wは、低温時の粘度(柔らかさ)、30は高温時の粘度を示している(値が小さいほど柔らかい)。

粘度を上げる=抵抗が増えるというデメリットはあるが、オイルの役割のうち「気密性」を保つという効果は上がるので、新車からだいぶ経ってお疲れのエンジンには粘度をちょっと上げる(30→40とか)はアリだと思う。

きっと、これに詳しく書いて有りそうな感じはするんだが、1万円払って見るほどの気が起きないゴメン。

オイルの規格

自動車メーカーは、社外品のオイルを選ぶ際は規格適合品を選定せよ、となっている場合が多い。例えばS660では、”API SM 級以上かオイル缶にAPICERTIFICATIONマークの入ったエンジンオイル”とある。ここで、APIについて軽く触れておく。

API規格 を見るのが確実。ざっくりサマると、

サービス
SP2020年5月からの規格。異常燃焼、タイミングチェーン、ターボやピストンに付着するゴミとかから守ってくれるように作りました。
SN2020年より前のエンジンのための規格
SM2010年より前のエンジンのための規格

とのこと。また、

For automotive gasoline engines, the latest API Service Category includes the performance properties of each earlier category and can be used to service older engines where earlier category oils were recommended.

https://www.api.org/products-and-services/engine-oil/eolcs-categories-and-classifications/oil-categories#tab-gasoline

すなわち、ガソリン車では最新のやつ使っとけば古いやつとの互換性あるからね!と言っている。

その他、様々な規格があるが、ともあれメーカーが推奨する規格に従ったものを入れておくのが良いのではなかろうか。

社外オイルのメリット

では、社外オイルを使うことのメリットとはなにかというと、もうホントに、自分のこだわりだけである。価格が安いものを入れて維持費を安くする、とか、超高性能オイルに謳われてれているエンジンの保護とパワーの増大といったプラスアルファの効果を狙う、ということを楽しめるのがメリットであろう。

少し話がずれるが、何を隠そうNBロードスターに乗っていた時はwako’sのオイルしか入れない、というwako’s信者だった(今もそうだ)。エンジンオイル(Wako’s Triple R)、ブレーキフルード、ミッションオイルはすべてwako’s製だった。油温が厳しいクルマだったので、サーキット走行で一度でも油温が120℃を超えると即交換していた。走行時のヘタリもなく、非常にNBロードスターと相性の良いオイルであった。信頼できるオイルメーカーであればAPI規格への適合が謳われていないものにも、良いものはいっぱいあるし、それこそクルマとのフィーリングで選ぶのも楽しい。

オイルの話でよく出てくる、部分合成油だとか、全合成油、化学合成油、などは”そのオイルの作り方”でしかなく、結局規格に合致したオイルを選んで、フィーリングが変わる前に交換しておけば間違いないというのが個人的な考え方です。求めているのは、”素性”ではなく、”性能”なので。このあたりは様々なオイルメーカーが工夫を凝らしているので、好みで選べば良いと思う。

S660のエンジンオイルを選ぶ

S660の推奨エンジンオイルは、API SM 級以上で、オイル粘度5w-30(Honda公式)である。ということであれば、最新のSPオイルを試してみたいってのが人情。今回のチョイスはMobil1 5W-30 SPである。 ただし、夏場やサーキット走行では、もう少し粘度を上げて、旧規格のSNグレードとなってしまうが5w-40 SNを選択しても良いと思う。ただし、Hondaの推奨粘度範囲外であり、私は走るステージで使い分けている。

在庫のオイルたち。左から、
Castrol 5W-30 SN(HA36S アルトワークスに使用していたが、Mobil1に変更)
Mobil1 5W-30 SP(S660、HA36Sアルトワークス、フリードに使用)
Mobil1 5W-40 SN(S660(ハード走行時)、ボクスターに使用)

今回入れるSP規格で追加された「タイミングチェーン」保護性能。アルトワークスも、フリードもタイミングチェーンなので期待しています。ということで、S660のオイルは、Mobil1 5W-30。しばらく、これを使っていく。

このオイルでサーキット走行も行った。走行後中のタレや、走行後の汚れなどもなく、さすがMobil1といったところか。

ただし、夏場やサーキット走行では油膜切れの心配が少ない、5w-40の方が安心できる。

今回S660とオイルの銘柄を揃えるためにMobil1に乗り換えたが、Castrolの方が価格が安く、通常の運転+α程度ではオイル性能も全く問題ないのでフリードとアルトワークスにずっと使っていた。CastrolからもSPグレードのオイルが発売されたので下記にリンクしておく。

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