日本語対応BD2ツールでS660の故障診断とボクスターのメンテナスリマインダリセット

車両は今や複数のECU(Electric Control Unit)を持ち、それらの機能ごとに故障診断を行うことが可能である。今後のトラブル防止と、現在の車両のヘルスチェックを行うためOBDツール(診断機)を用いて故障診断を行ってみた。Foxwell社のOBDスキャンツール(故障診断ツール) NT530を使ってS660、フリード、987ボクスターのエラーコードを読み出しと、987ボクスターのオイルメンテナンスリマインダのクリアを行った。

目次

OBD2スキャンツールNT530の購入とセットアップ

OBD(On Board Diagnosis)とは、自己故障診断を意味する。アメリカでは、大気汚染防止のために排ガス浄化ためのシステムが正常であることを、定められたツール(Generic Scan Tool)で確認しなければならない、と法規で決められており、全自動車OEM(メーカー)はこれに対応している。診断ツールの共通通信規格としてSAEおよびISOが定められているため、このプロトコルに則り所定の通信コマンドにより故障診断が可能となっている。

故障診断のみならず、ディーラーでのメンテナンスサービスのために、DTC(Diagnosis Trouble Code)と呼ばれる故障コードを読みだしたり、それをクリアすること(クリアした後に再度コードが積まれれば、直っていないってことがわかる)ができる。また、各部品の動作チェックを行ったり、さらには制御プログラムを焼きかえたりすることも可能である。流石に制御プログラムの焼きかえに関してはDIYってわけにもいかないだろうけど。

987ボクスターの場合は、メンテナスリマインダのリセットも、このツールを用いて行う。

各社から診断ツールが出ているのであるが、今回はNT530というスキャンツールを使ってみることにした。理由は、値段の割にそこそこ使えそうだったから。国内の大手自動車部品メーカーは、OEMにOBDスキャンツール(故障診断ツール)を供給しているが値段がとても高い(15万円~)。

海外製のOBDスキャンツールを探してみると、アップデートが困難なものが多かった。ということでOBDスキャンツールをしばらく探してたどり着いたのが、FOXWELL社のNT530というOBDスキャンツールである。

NT530の購入方法

FOXWELL が会社のHPっぽい。住所は、5/F, Plant C, Baocheng 71st Zone, Xin’an Street, Baoan District, Shenzhen 518106, China とある。所謂”中国のシリコンバレー”と呼ばれている深圳市が本社のようだ。ハイテク産業が盛んな地域で、優秀な技術者が集まっていると聞く。

OBDスキャンツールを使って提供しているサービス(機能)は、基本部分を除きOEMにより異なるため、適用している車種を調べる必要がある。今回購入したNT530では、本体+OEMデータのセット、という形で販売されている。私が当初NT530当初の目的は987ボクスターのメンテナスリマインダののクリアと、付随機能で故障診断だったので、本体+ポルシェのデータのセットを購入した。

OEMによりOBDスキャンツールからできることが違うので、所有している車両が適合しているのかを公式のHPからチェックしてみると良い。・・・適用を調べるのはこちら

今回はNT530をFOXWELL公式HPから購入した。USドルでの決済が可能。新型コロナウィルスの影響で飛行機が飛ばず、現地のサポートスタッフとのやり取りの末、1ヶ月ほどで中国から発送されてきた。

購入を考えていて海外発送が面倒という方は、Amazonでも売っている↓

送られてきたものを開封すると、こんな感じ。

OBD2スキャンツール NT530

多分このまま車両につなげても使えるのであろうが、こいつの良いところは「NT530というツールが開発されている間、一度購入したOEMのアップデートデータは無料である」というところ。なお、OEM単位でのデータ購入となるので、家にポルシェ製のクルマしか無いぜ、という方はポルシェのOEMデータだけを購入すれば良い。

ユーザ登録

アップデートを受けるには、ユーザ登録が必要である。

Foxwellユーザ登録画面
ユーザ登録画面

必要情報を入力して、ユーザ登録を行う。登録方法は、商品に付属の説明書に記載されている。英語だが、絵入りで解説してくれているので戸惑うことは少ないと思う。
登録したデータでこちらからログインして、

NT530本体裏面に記載のシリアルNoを入力する
NT530本体裏面に記載のシリアルNoを入力する

この画面でシリアルNoを登録する(シリアル登録は、PCアプリからもできると思われるが、私はこっちからやった)。

PCアプリのセットアップ

データアップデートはPCから行うため、PC側のアプリをダウンロードする

https://www.foxwelltech.us/support-tools.html
https://www.foxwelltech.us/support-tools.html

DOWNLOADボタン押下でダウンロード。FoxAssistというアプリがPCにインストールされる。本体をPCのUSBポートに接続すると、電源が入る。

Setting→Language→日本語 で言語を変更可能

↓の画面で、データ更新を選択する

データ更新を選択する
データ更新を選択する

PCとUSBで接続されていると、本体をPCが認識してくれる。

PCと通信を開始する。USBメモリとして認識する
PCと通信を開始すると、USBメモリとして認識する

この状態で、先程PCにインストールしたFoxAssistというアプリを起動する。ログインすると、下のような画面になる。

FoxweNT530のツール画面(PC側)
ダウンロード からアップグレード可能なバージョンを選択して更新を行うことができる

ダウンロードから必要なファイルを選択して更新を行うと、更新が始まる。更新が完了したら、早速車両につなげてみよう。ということで今回は、987ボクスターのメンテナスリマインダのリセットを行う。

987ボクスターのメンテナンスリマインダ

987ボクスターは、オイル交換のタイミングを教えてくれるメンテナンスリマインダのリセットはOBDツールにより行う。

987ボクスターのOBD2コネクタはアクセルペダルの手前側にある
987ボクスターのOBD2コネクタはアクセルペダルの手前側にある

上記コネクタにOBDツールを差し込むと、ツールが自動で起動する。この後、キーをIGまでひねると診断が始まる(エンジンはかかっていない状態。エンジンをかけながらDTCをクリアすると壊れるって警告が出ましたので注意)。

FoxweNT530の画面
ポルシェを選択

PORSCHEを選択すると、VIN(Vehicle Identification Number)を選択するモードになるが、「スマートVIN」で自動スキャンしてくれる。

Boxster987が自動で選択される
987ボクスターが自動で選ばれている

いろいろイジってみると、特殊機能

FoxweNT530で987ボクスターのオイルリマインダのリセット
特殊機能

からの、オイルリセット、Reset Service Intervalという選択で、クリアできた。

FoxweNT530で987ボクスターのオイルリマインダのリセット
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OEMの追加

実は、987ボクスターを手放しているので、今となってはポルシェのデータは不要。メルカリで売り飛ばしてやろうと思っていたのだが、改めてHondaの適用を見てみると、なんと、S660が載っている。

Foxwell NT530 S660に対応する、とある。
S660でチェックできる項目が表示される。1,000項目程度ある

もうデータ買うしか無いでしょ、ってことで、ソフトウェアを選択してチェックアウト。

Foxwell NT530Honda用ソフトェアを購入した
Honda用ソフトェアを購入した。20%OFF

ツール本体を再起動してみるとHONDA/ACURAのアイコンが出現。データ追加

Foxwell NT530 HondaデータとPORSCHEデータ
Hondaデータが追加された!

早速、Honda車両(S660とフリード)に使ってみる

S660のOBD2は↓にある。

S660のOBD2コネクタ
S660のOBD2コネクタは運転席左側の「座ったときに左膝の前」あたりにある

S660で確認した機能

IGを入れるには、ブレーキもクラッチも踏まない状態でIGスイッチを2回押す

IGを入れるには、ブレーキもクラッチも踏まない状態でIGスイッチを2回押す。この状態で車両のECUにアクセスできる。

読み取ってみたところ、問題は無いようだ。

Foxwell NT530 Honda S660をチェック。2000km走行後、正常なようだ
Foxwell NT530 Honda S660をチェック。2000km走行後、正常なようだ

様々な機能があるのでが、今回さらに「インスペクション」という機能を試す。これは、エンジンがかかっていない状態で色々なデバイスの動作を確認できる機能であり、今後の故障診断にとても役に立つと思われる。お試しで、今回はラジエータファンを起動させてみた。

Foxwell NT530 インスペクション→ラジエータファンを選択
インスペクション→ラジエータファンを選択
Foxwell NT530 ボタン一つでファンの駆動が可能
ボタン一つでファンの駆動が可能

ファンの駆動音が鳴る。ちゃんと動いているようだ。

フリードのチェックもしてみた

フリードの場合は、エラーコードが2つ出た。

SRS12-10 Open or increased resistance in the right front airbag first inflator

SRS12-10 Open or increased resistance in the right front airbag first inflator
SRS12-10 Open or increased resistance in the right front airbag first inflator

B1225:内気温センサのコード断線、センサ不良

B1225:内気温センサのコード断線、センサ不良
B1225:内気温センサのコード断線、センサ不良

エアバッグ系とエアコン系。エアバッグは、以前取り外したときにIGを入れてチェックが走ってしまったものが残っているっぽい。エアコン系も同様に、オーディオや内部の配線をイジったときのエラーと思われる。なので、一度全部クリアして、様子を見ることにした。

その後、100kmほど走行して再度エラーチェックし、どちらも正常に復帰し、全システム異常なしを確認できた。

まとめ

今回は、FoxweNT530というOBD診断ツールを購入して使ってみた。良いところは、アップデートに対応していくことと、一つのOEMを選べば殆どの車種に対応しているってことだと思う。また、多機能で、ここで紹介したものはその一部である。

今後、ECUの数が増え続けていて、電気系のトラブルシューティングには必須のツールと思われるので、自分でメンテナンスを行うって方は、様々なメーカーからOBD診断ツールが出ているので検討してみるのも良いと思う。

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