アメリカの交差点でおなじみの「Turn on Red(赤信号での右折許可)」。非常に効率的な交通ルールではあるものの、実は追突事故の発生頻度がきわめて高いデンジャラススポット。カリフォルニアに来てから約1年、この「Turn on Redで前を見ずに突っ込むパターン」の事故の瞬間をすでに2回も目撃していた。そのため日頃からかなり警戒していたものの、ついに、自分自身が食らってしまった。
今回は、事故の発生メカニズム、被害状況、保険会社への電話報告でのやり取り、そしてカリフォルニア州で提出が必要な「SR-1」の手続きについて記録しておく。
今、アメリカで事故にあったので、対応方法を大至急知りたい!!と思いここにたどり着いた場合、以下1)~5)を参考に。
1)安全確保と二次被害を防止:車を安全な場所に移動し、怪我人を確認。
2)911に電話し必要なら救急車を要請:救急車は、”I’m in a car accident, we need an ambulance”。
3)警察の到着を待ちながら相手の連絡先とナンバープレート、保険ナンバーを確認して撮影許可をもらい撮影。自分の免許証と保険についても相手に撮影させる。可能であればWitness(目撃者)の連絡先も控えておくと、後々役に立つことがある。現場を撮影し、互いの車や道路構造物の破損箇所、事故状況などをメモ。
4)警察が到着し、見分が完了したら、Police Reportを発行してくれるので、それを受け取る(保険請求に必要となることがあることがある)。
5)保険会社に連絡し、事故を報告し指示に従う。
基本ルール
以前投稿したこちらの記事の項目5でも解説している通り、「No TURN ON RED」の指示がない限り、右折が可能。

ただ、ここに大きな落とし穴がある。
1. 事故の発生状況とメカニズム
今回の事故の発生の経緯は以下の通り。

- 一時停止: 赤信号で右折するため、私は停止線手前で完全停止して、他の車両が来ないかを確認。(赤信号で右折する場合の優先順位は最下位)。
- 安全確認: 左側から直進してくる優先車両が見えたため、停止を継続。
- 後続車の発進: 後続車が前方の安全確認を怠り、そのまま私の車に追突。
【なぜ追突が起きるのか】 Turn on Redでの追突事故の多くは、後続車ドライバーの視線が「自車の前方」ではなく「左側からの直進車」だけに向けられる。これにより、自車が優先車を待つために停止していても、後続車は前を見ずにアクセルを踏んでしまうため、回避が難しい事故パターンとなる。
おそらく、後続車は私が交差点にゆっくりと入ってギリギリで停止した事に気が付かず、左からの直進車に注意を払っている間に追突してしまったのだろう。私が停止してから5秒後くらいに、後ろからコツンって食らったものの、相手の車両の速度は徐行レベルだったので、衝撃は殆ど感じなかった。
2. 両車の損傷状況
現場で確認した両車の状況。

追突してきた後続車は黒のマツダ・ロードスター(MX-5)。フロントバンパー中央からグリル、ナンバー付近にかけて破損。非常に綺麗に乗られている個体だったため、車好きとしては非常に惜しい。

一方、こちらの車(トラック)はリアのトレーラーヒッチ(ヒッチメンバー)部分にダイレクトに衝撃を受けた(写真◯)。ヒッチ本体が相手の衝撃をすべて受け止めたため、バンパーへの被害はわずかな擦り傷程度で済んだ。なお、写真点線の◯に、うっすらマツダのエンブレムが見える。双方、自走・走行性能には影響なく、その後、私の車のパーキングセンサー類やライトも確認したが、特に問題なし。
3. 事故直後の現場対応と当事者のやり取り
事故後の現場対応は淡々と行うべき。第一に、怪我などがないことを確認する。詳細は妻が事故した時のフローを参照。

- 安全確保: 車両を安全な場所に寄せ、双方に怪我がないことを確認。
- 情報交換: 双方のドライバーズライセンス、保険証券(Insurance Card)、ナンバープレートの写真を相互に撮影。
相手側は免許を取って3年目の若手ドライバー。アメリカでは現場で謝罪しないケースも多いが、今回は相手側が自身の前方不注意を即座に認め、始終恐縮した様子で誤り倒された。まぁ、先行車両が停止する可能性が高いシチュエーションで、完全停止している車に突っ込んだのであれば、突っ込んだ側が悪いとなるだろう。
4. 保険会社への電話報告(車好き担当者とのやり取り)
現場対応を終えた後、自分の保険会社へ事故報告の電話(つくづく思うが、アメリカで電話すると、自分の名前や住所、電話番号などすべて口頭で説明が必要となるので非常に面倒。事故の説明だけで30分以上かかる)。口頭で事故の状況や相手車両の情報を淡々と伝えるのだが、対応してくれた受付の担当者自身がかなりの「車好き」だったようで、相手の車が「Miata(ロードスター)」だと伝えると、電話口で一気に反応が変わる。
担当者:「えっ、Miataですか? 世代はどれですか? NA? NBとか?」
自分:「NCなんですよ」
担当者:「あぁー、NCですか……それは勿体ないことをしましたね……」
写真を見せていない電話の段階にもかかわらず、ロードスターの型式(NA/NB/NC)を聞いてくるあたりに担当者のクルマ愛を感じると同時に、「きれいなNCだったのに勿体ないな……」という思いを車好き同士で共有した一幕だった。結局、保険会社の勧めで私の車も検査と修理に出すことになった。
5. カリフォルニア州で必須の「SR-1」提出手続き
カリフォルニア州内で事故に遭った場合、過失割合に関わらずDMVへの「SR-1」レポート提出が必要になるケースがあるので注意。これはカリフォルニアのルール。
提出条件
- 事故による全体の損害額が$1,000を超える場合
- 怪我人または死亡者が発生した場合
今回の事故では相手車両のフロントが大きく破損しているため、おそらく損害額$1,000超えは確実。自分に過失がない(10:0)場合であっても、当事者双方が提出する必要がある。安全サイドに振るなら出しておく。
SR-1手続きの概要
- 提出期限: 事故発生日から10日以内
- 提出方法: カリフォルニア州DMVの公式ウェブサイトからオンラインで提出可能。
- 必要項目: 事故日時・場所、双方のドライバー情報、車両情報、保険情報。
- 注意点: 警察に通報し、ポリスレポートが作成されていても、DMVへのSR-1提出は別途必須。未提出の場合は免許停止などのペナルティを受ける可能性があるため、確実に手続きを行うこと。
損害額が$1,000を超える(あるいは怪我人がいる)事故では、自分に非がなくても「10日以内のSR-1提出」はカリフォルニア州での法的義務。知らなかったでは済まされず免許停止につながるため、事故後は速やかにDMVの公式ウェブサイト(オンライン)から提出すること。
6. Turn on Redでの追突防止策
今回のケースを踏まえた防衛運転のポイントを解説したい。
- 完全停止の意思表示: 中途半端にクリープ現象で進むと、後続車に「行く」と誤認させやすくなるので、止まる際はハッキリと停止すること。
- 早めのブレーキランプ点滅: 減速段階から早めにブレーキランプを点灯させ、後続車へアピールしつつ、ヤバい後続車(距離が近い)などの場合は、何度かブレーキを踏んで点滅させると効果的。
残念ながら今回は、こちらが完全停止した後、数秒後だったので止まっている車両に突っ込んできたため、回避が難しいケースだとは思うが、実は右に避けられるスペースがあったので、多少左から来る直進車は怖い思いをするかもしれないが、無理やり右に曲がりつつ、とすれば避けられたかもしれない(別の事故を誘発するリスクが高いし、こちらが悪くなるのでオススメはしない)。
まとめ
Turn on Redでは、どれだけこちらがルール通りに運転していても、後続車の勘違いによって追突されるリスクが存在する。アメリカの基本ルールについては「交通ルール15選」や「事故対応手順」でも解説しているが、こちらが正しく運転していても事故をもらってしまうことはある。万が一の際は慌てずに現場での情報交換を行い、保険会社への連絡や10日以内のSR-1提出などの必要な法的手続きを淡々と進めよう。
今回の事故を経て、改めて痛感した「自己防衛策」としては、
- 「行くフリ」を絶対にしない:中途半端にジリジリ前に出ると、後ろの車が「行った」と誤認する可能性があるので、止まるときは明確にストップ。
- ブレーキランプでアピール:止まる直前に数回ブレーキを踏み、後続車に減速・停止の意思を伝える。
Turn on Redは「後ろの奴は前を見ていない」という前提で運転する必要がある。皆さんも海外での運転時は、後続車の動きに注意いただきたい。皆様の安全なドライブのヒントになれば幸いだ。

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