車両には様々なユニットが搭載されており、その多くは電源や信号線の接続に「コネクタ(カプラ)」というものを使っている。S660のスイッチ移設の際には、コネクタの間に割り込ませるコネクタと配線を利用して、移設を行っている。
車両に使用されているコネクタに嵌合(かんごう)するコネクタをうまく使えば、車両本体の電線を傷つけることなく作業できるので、断線のリスクも最小で済む。しかし、ディーラーで作業手順書(配線図)を見せてもらって見当をつけ、最終的にはテスターで確認して作業する。配線のピンアサイン(どのピンがどの信号か)の特定が面倒だが、しかし、高いクオリティで配線が可能なので、やる価値は高いと思う。
必要なコネクタ(カプラ)の確定
車両のコネクタを作っている会社としては、「住友電装(すみでん)」「日本航空電子(JAE)」「矢崎総業(ヤザキ)」などが有名。これらのコネクタには互換性はない。よって、車両のコネクタが何かを把握する必要がある。インターネットの情報を漁るなどして集めるしかない。私の場合、今までの経験(というか間違えて使えないコネクタを買った失敗)から使ったことがあるコネクタは判別できるが、初めてのコネクタの場合は、それぞれコネクタ会社のHPから図面を見て、嵌合するものを探す。
カプラの種類
カプラの種類は、使われるピンの大きさによって090、040、025などが存在する。ピンの形は、オス側が尖っている方。このオスメスのピンが刺さるカプラをそれぞれ、オスコネクタ、メスコネクタという。下写真だと、090の8極メスカプラ(一番右)はオプションカプラ用、025の20極および12極メスカプラは中継ハーネス用。
電源カプラ用の圧着工具
カプラについている「ピン」を電線にカシメる(圧着する)ための工具(下写真左)。これがないと始まらない。右側はHOZANのワイヤストリッパ。ワイヤストリッパは安物でもいいと思うが、HOZAN製は精度が高いので使いやすい。
ホーザン(HOZAN)の 圧着工具でカシメたピンは数知れず(というか、この工具以外でやったこと無い)
作業例の紹介
ここからは、具体的な配線の使い方の作業を紹介する。
作業例①(S660オプションカプラの作り方)
S660の電源オプションカプラの作成を例として紹介。電線の選び方や車体への取り付け方法はこちらの記事を参照↓
カプラピンのカシメ
電線を適当な長さで切り、先端をワイヤストリッパで剥く。電線の太さに合わせて、切り込んで引っ張ると抜ける。
電線のピンへの圧着は、下の①、②を圧着する。
まず、上記写真の①の部分を圧着。このとき、「導線だけを圧着」すること(被覆部分はカシメない)。
圧着工具でうまくカシメると、下のようになる。カシメたあと、「ツメ」が電線を包むようになっていればOK。
続いて、②の部分をかしめる。ここは、被覆も含めてカシメる。
カシメ完了。被覆部分にちゃんとピンが曲がって食い込んでいると、成功。ちゃんとカシメると、ちょっと引っ張った程度では抜けない。
出来上がったピン
オプションカプラにピンを差し込む
電線にピンをカシメたら、カプラに差し込んでいく。ピンの配線は↓の通り。実はこれを確認するために、一度全部ピンを挿して確認している。確認作業が結構大変だったので、配線を記載しておくので参考までに。
ピンには差し込みの上下があるので、注意(入るようにしか入らない)。全部入れたら、カプラの上下にあるロックを閉じる。ついでに、他のハーネスと擦れて傷がつかないように保護チューブを巻いておく。
出力先はギボシ端子。手前にヒューズを取り付けている。
にあるようにオプションカプラに取り付け、Fuseボックスに取り付ければ終了。
作業例②(S660ステアリングスイッチ移設の中継カプラの例)
S660のステアリングスイッチの移設記事の場合は、ステアリングから取り外した純正ハーネス(下写真)をヒントにカプラを選定した。
上記をもとに、嵌合するハーネスを作成している。
使用したのは、車体側ハーネスとケーブルリールをつなぐコネクタ(オス、メスセット)。
あと、ステアリングスイッチ側のコネクタ
これをカシメていく。やり方はオプションカプラと変わらない。ただし、この025のコネクタの場合、ピンが小さく、対象としている電線も細い。うまくコネクタに挿さるように調整しながらカシメを行うには慣れが必要だろう。ちょっと上級者向き。
ここでもホーザンの圧着工具が大活躍(というか他の方法を知らない)。これがあれば、車両に取り付けるほとんどのコネクタの加工ができるようになる。私は10年ほど前に購入してずっと使っているのでロゴも古いが、最新モデルはデザインがちょっと変更になっているようだ。精度高く、長持ちするのでハーネス関連の弄りを行うならマストアイテム。クルマに使う殆どの純正ハーネスに対応できる。
コメント