【開発記】S660 DIYでステアリングスイッチを移設

S660のステアリングスイッチを、ステアリングコラムカバーに移設した。S660は純正ステアリングにオーディオスイッチがある。特にS660βに関しては、オーディオがステアリングにあるスイッチだけでしか操作ができない仕様であるため、ステアリングを交換するために、スイッチ類の移設がマスト。そこで、ステアリングスイッチをステアリングコラムに移設することにした。

以下で販売を行っていたが、販売予定数量に達したため、販売終了。

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目次

ステアリングスイッチの移設の選択肢

専用の移設キットを使う方法と、自分でやる方法がある。

選択肢①:専用のスイッチ移設キットを用いる

S660のスイッチ移植について、もっとも手っ取り早いのが、ワークスベル社製のステアリングスイッチ移設キットを用いるやり方。ワークスベルのSRDという商品を用いることを検討した。

移設キットのメリット=移設が簡単
移設取り扱い説明書に従って移設するだけ。見た目は好みの問題であるが、収まりも良い。ステアリングを握ったまま操作できる従来の操作性を維持したまま、ステアリングを交換することができる。

移設キットのデメリット=価格が高い
ステアリングボスの価格に加えて3万円程度の出費となる。ステアリングボス+1万円くらいだったら、購入してたと思うが、しがないサラリーマンなので、スイッチの移設だけに約3万円の出費は厳しい。

選択肢②:自作で頑張って移設する

自作で移設するメリット=安価
コレに尽きる。自分で作成すれば、Amazonで購入する部品代だけで移植ができる。

自作で移設するデメリット=組付けが面倒
組付けの手間はDIYでやる以上はどうしてもかかってしまう。要はめんどくさい。やっぱり、専用に設計された移設キットの「収まりの良さ」にはなかなか敵わないだろう。

今回は、移設キットの約3万円が高かったため、ステアリングスイッチをDIYで移設することにした。

移設の検討と移設先の決定

どこに移設するか?

問題となるのは移設先だ。「ステアリングから手を離さずに操作する」ことを求めるのであれば、やはりステアリング周りに移設したほうが良い。実際、市販のステアリング移設キットもそのような設計になっている。もちろんステアリング側にあればあったで便利だ。よくある移設キットのようにステアリングと一緒に回転する様に作る場合は、ステアリングボスとの間に挟み込むような形状を作ればハーネス加工無しで行けそうだ。

しかし今回は、ステアリング周辺をスッキリさせることを目的として移設場所を考えた。「ステアリングから手を離さずに操作する」を捨てれば、場所を検討できる範囲は広い。

ステアリングコラムカバー横で決定

ああでもないこうでもないと色々悩んだ結果、ステアリングコラムの左側のスペースに移設できそうだった。ここなら操作に支障はないし、ちょっと手を伸ばせば操作可能である。スイッチ自体もブラインド操作できるので問題ないだろうと判断し、下図赤枠で囲まれた場所を第一候補地とした。このカバーの内側まで配線が来ているので最短距離で結線可能。ウィンカーレバーの下なので、社外シートベルトハーネスでガッチリ体を固定されていても手を伸ばすことなく操作できそう。

S660ステアリングスイッチをステアリングコラムカバーに移設
移設予定地!!

αの場合、ステアリングロックのためのキーシリンダーユニットが邪魔で配線が難しいため、同様にクルコンスイッチをステアリングコラムカバーの右側に移設するのは工夫がいる。クルコン移設に関しての検討はこちら

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ステアリングスイッチ移設ハーネスの作成

検討の結果、コラムカバー横にステアリングスイッチを移設するためのハーネスを作成することにした。

注意:以下作業は必ずバッテリーのマイナス端子を外してから実施してください。

S660ステアリング移植ハーネスの構想

ステアリングは、ご存知の通りくるくる回る。回転しても電線が突っ張って切れることがないように、蚊取り線香のような配線がされているケーブルリールという部品がある。ケーブルリールは、ステアリング側とステアリングコラム側にそれぞれカプラを持っていて、今回はステアリングスイッチをステアリングコラム側に移設するため、ケーブルリールより車体側にハーネスを移植する必要がある。

左側が、純正のハーネス。右側の赤部分が今回作成する中継ハーネス

そのために、ケーブルリールの車体側の中継ハーネスと、ケーブルリールとホーンをつなぐホーンハーネスを作成する。作成には、実際のハーネスのピン配置を確認しつつ、ホンダディーラーで見せていただいた回路図をもとに作成していく。ディーラーさん本当にありがとう。また、それだけでは確証が持てなかったので、それぞれのコネクタをテスタで通電確認作業している。コレが結構時間がかかる。

確認した純正のコネクタの配列は、以下のようになっていた。

S660のステアリング交換とスイッチ類の移設配線(純正配線)
S660βの純正配線

βはクルコンが適用されていないため、クルコンのスイッチ配線についてはどこに接続されているかは未確認(ケーブルリールの出口で、推定はできるけど…)。同様のことをαで考えている人は、ステアリングスイッチの純正ハーネスと、車体側のコネクタが挿さっている場所をテスターで当たってみると配線がわかる。

新規追加配線

車体側のハーネスを、ステアリングスイッチとケーブルリールに分岐する中継ハーネス配列がわかったので、ハーネスを作成する。今回はカプラオンで戻すことが可能な中継ハーネスを新規作成のため、取り外した純正ハーネスの配列を確認しながら進めれば、ミスは少ないはずだ。

ハーネスの圧着方法

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オプションカプラに比べて今回使用するコネクタのピンは小さいので、電線もピンも細いものを使用しなければならない。ピンが細いので、カシメた後にカプラに挿入するのにコツが必要(うまく整形しないと、コネクタにピンが挿入できない)。電流量を考えて、AVSS0.3sqを選択。

コツを掴めば、圧着工具があれば簡単に作成できる。精度高く、長持ちするのでハーネス関連の弄りを行うなら、買っておくのが良い。下の圧着工具なら、クルマに使う殆どの純正ハーネスに対応できる。(他の圧着工具だと、今回使うハーネスピンを加工するには大きすぎるためうまくカシメられない)

ステアリングスイッチ移設ハーネスの作成

純正の車体側コネクタの配列はわかっているので、その配列に向かい合う形で電線を作成する。純正の車体側コネクタは、ステアリングコラムカバーを外し、ケーブルリールの車体側に挿さっているコネクタを抜けば見ることができる。

S660ステアリングスイッチをステアリングコラムカバーのコネクタ

上の車体側コネクタが挿さるように、中継ハーネスを作成した。コネクタの配列は、車両の装備によって多少異なるはず。↓の図の一番左のコネクタに、車体側のコネクタが挿さる。中央のコネクタは、ケーブルリールに配線される。一番右側のコネクタはステアリングスイッチへと挿さる。ステアリングスイッチ用のコネクタは、取り外した純正ステアリングスイッチのコネクタと同じ配線になるように作成する。テスターで通線を確認しながら慎重に。

車体側ハーネスとケーブルリールをつなぐコネクタ(オス、メスセット)を使った。

ステアリングスイッチ側のコネクタはメスのみでOK。

上記のセットと、あとは電線があればハーネスは作れる。

作り方はこちら

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作成したハーネス類の取付

ハーネスの通電確認を行ったら、いよいよハーネスの取付。下図のように取り付ける。

サクサクと挿していく。カプラを挿すだけ。下の赤○のカプラに、ステアリングスイッチ移設ハーネスを差し込む(挿さるようにしか挿さらない)。

次に、もともと純正カプラが挿さっていた場所(ケーブルリール(上写真の黒い部品))にステアリングスイッチの移設ハーネスのメス(これも挿さるようにしか挿さらない)を挿し込む。下図のようになっていればOK。カプラは振動で揺れないように注意してタイラップなどで固定する。また、断線防止のため、ハーネスに無理なテンションがかかっていないかを確認する。

ひとまずハーネスの取り付けは完成。

続いて、ステアリングコラムカバーを加工して、スイッチを取り付ける。

ステアリングコラムカバーの加工

ステアリングコラムカバー

ステアリングコラムカバーに、スイッチ取り付けのための穴あけ加工を行うことになる。純正に戻したい時、あるいは失敗した時のために、純正のステアリングコラムカバーがあると安心。

現物合わせで穴を開けても良いが、私が穴あけ加工した場所は以下の通り。この場所だと、ステアリングをチルト(上下調整)した時にも干渉しない。下図の写真はステアリングコラムカバーを裏側からみたもの。

穴あけ位置は、ワイパーレバーが通る切り欠きの半円のドライバー側端点(成形時のラインがもともとあるのでそのライン沿い)から下に5.5cm、車両前方に0.5cmの場所を頂点として、下方向に2cm、車両先方方向に1.2~1.5cmの長方形の穴(下図の真黄色い□)を開ければ丁度良い(下写真では試行錯誤しながらだったのでちょっと大きめに穴を開けてしまっている)。

コラムカバーの加工手順

①ドリルで穴あけ

S660ステアリングスイッチをステアリングコラムカバーに移植(加工②)

相手が樹脂なので、安物のドリル+刃で十分。電動ドリルはこういった時に何かと重宝している。

②ニッパーで切り取り

ドリルで開けた穴に沿って、ニッパーで切り取り

③大きさを見つつ、小修正

S660ステアリングスイッチをステアリングコラムカバーに移植(加工③)

④ヤスリで整形

幅広の棒ヤスリがあると便利。

仕上げはペーパーで根気よく削ってきれいにする。

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⑤スイッチの固定

超強力両面テープで貼り付ける。両面テープに若干厚みがあったほうが取り付けやすい。

S660ステアリングスイッチをステアリングコラムカバーに移植(加工④)

ステアリング移設ハーネスと接続

車両へあてがってみる。チルト時に干渉がないことを確認してステアリングスイッチの移植完了。内装のクリアランスは、チルトしても当たらないギリギリ。

S660ステアリングスイッチをステアリングコラムカバーに移植!

↓↓↓この記事で紹介したステアリングスイッチ移設ハーネスを販売しています↓↓↓
販売予定数量に達したため、販売終了。詳細はこちらのページ

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