日常、クルマを運転するとき、踵を床につけてブレーキペダルを操作することについてのメリット・デメリットを考察してみた。教習所では、ブレーキを踏むときは踵を床から離して操作することを推奨しているところもあるという。この記事では、ブレーキ操作方法についての考え方をまとめている。
法律の解釈
はじめに、ブレーキ操作の方法について法律ではどのように定められているのかを確認してみる。ブレーキ操作に対する法的な解釈は以下となる。
(安全運転の義務)
道路交通法第四章より
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぽさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第九号〔三月以下の懲役又は五万円以下の罰金〕、同条第二項〔十万円以下の罰金〕)
ブレーキの操作に踵をつける、つけない等の規定はなく、「確実に操作」できることが必要ということだ。
繊細な操作を求められるブレーキは踵を床につけた方が確実
ブレーキ操作は、緊急時に素早く強い操作が必要であるが、通常時は微小なコントロールが必要である。よって、踵を床につけて操作したほうが、ペダルの微小なコントロールがしやすい。
現代の車はブースター装置があるため、踵を床につけてもフルブレーキが可能
日本では、自動車教習所で免許を取得することが一般的である。今から20年以上前、筆者もブレーキペダル操作は踵を床から離して操作するように習った覚えがある。ただ、これが現代に通用するのかというと疑問だ。現在のクルマには、一部の特殊な車両は除きブレーキブースター(=倍力装置)という装置が組み込まれている。これは、軽い力でも十分な制動力を得るための装置であり、ブレーキブースターのおかげで、思いっきりブレーキを踏まなくても、現代のクルマは十分な制動力を得ることができる。昔のクルマでは、ブレーキブースターは一般的ではなく、ペダルを踏む力が弱い女性や初心者のために、ブレーキを浮かせて踏むように教えていたようだ。
踵をつけないとぎくしゃくする挙動になりやすい
かかとを床につけずに操作する方が効果的な場合もある。例えば、急激に素早い操作が必要なシーン(飛び出してきた障害物に対応が必要な状況など)では、コントロール性などは無視して制動力を出すべきだろう。思い切りブレーキを踏める訓練は、踏み方問わず、身につけておく必要がある。
一方で、踵を床につけないブレーキ操作の場合、どうしても普段のブレーキ操作はぎくしゃくしがちとなる。ドライバーは、丁寧な操作と、急な操作の両方ができる必要がある。
スポーツドライビングでは?
ヒール&トゥの際には当然、踵付近でアクセルペダルを踏むことになるので、シフトチェンジする瞬間のみは踵を床から離している時間は存在する。こちらも慣れが必要な操作ではあるものの、ずっと踵が浮いている状態ではないため、練習によりスムーズなヒール&トゥを行うことを習得する必要がある。
スポーツドライビングの場合、制動力は当然一般道よりも大きくなるが「曲がるためのブレーキ」もあり、常にABSギリギリのフル制動をしているわけではない。コーナーをクリアできる最大の速度まで減速すれば良い。こういったシーンでも、もちろん踵は床につけておくことで繊細なコントロールが可能となる。
踵を床につける操作のメリット
ただし、限定されたシーンでは踵を離した方が安定する。ABSを信じてフル制動するときは、何も考えずに思いっきり太腿に力を入れて踏み込む方ことも必要だろう。このときは踵は床に付ける必要はない。逆に、踵を床につけてブレーキを操作している方は、急制動ができるかどうかを確認して欲しい。
以下記事でも紹介しているが、ツインリンクもてぎ・鈴鹿サーキットで行われているスクールでは、そういった走行体験ができるので、一度参加してみると良いだろう。
確実にブレーキが操作できる事が大事
いざという時に、必要な制動力を得るためには、クルマを安全にコントロールできる操作方法は何か、と考えながらドライビングすることが大事だ。ちゃんと制動できるのなら、踵を床につけようが、つけまいがどちらでも問題ないと考えている。
一方、街中でぎくしゃくしてしまう、という方は、繊細な操作ができる踵をブレーキにつけて操作する方が良いだろう。また、フルブレーキをする自信がない、という方は、いざという時のために安全な場所で練習しておくことを強くおすすめする。
まとめ
ブレーキ操作について、踵を床につけて操作するメリットを上げてみた。繰り返すが、
(安全運転の義務)
道路交通法第四章より
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぽさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第九号〔三月以下の懲役又は五万円以下の罰金〕、同条第二項〔十万円以下の罰金〕)
にある通り、ブレーキの操作に踵をつける、つけない等の規定はなく、「確実に操作」できることが必要ということだ。目的は「クルマを確実に操作する」ことである。是非自分に合ったブレーキ方法を見つけてみてほしい。
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