HA36S アルトワークスの「ローポジくん」車検対応

HA36Sアルトワークスは、アルトをベースとして、エンジンやサスなどを強化したクルマである。シートは純正でレカロシートが採用されている。

純正のレカロシートはよくできているが、重心が高いのが気になっていたので購入時から、テイクオフ製の「ローポジくん」に組み替えて使用していた。視線が下るとともに、ドライビング時に足を前に投げ出すスポーツカーライクなポジションになる。重心が下がり、コーナリングの安定感が上がるのでオススメである。パッと見ただけでは純正と変わらないが、実は座席はだいぶ下がっている。

シートレールは純正を使用し、シートとつなぐ部品(シートライザーというらしい)を交換するだけ。

目次

ローポジくんの車検対応

今回はうちにアルトが来てから2度目の車検。前回はインターネットで見つけた近くの車検場で通したが、今回は軽自動車検査協会に車を持ち込んで車検を受ける「持ち込み車検」にて対応となった。

結果は「車検通らず」。理由は、ローポジくんが、購入時に無償で付属していた「座席取り付け装置の強度検討書」と「シートベルト取付部強度検討書」だけでは車検ダメだと言われてしまった。実際の試験結果がわかる「試験成績書」を提出せよ、とのことだった。検査官の対応については都道府県により、また、どこに車検を依頼するか(ディーラー車検など)によって基準が若干違うと思われる。私が住む地域の軽自動車検査協会では、この「強度検討書」だけではNG。

この辺は、地域により異なるので、検査官に確認しないと分からない。

私の地域の持ち込み車検では、「強度検討書」だけではダメで、強度検討した結果実際に同じ製品を衝突試験をして問題なかったという結果がわかる「座席取付装置の強度試験(スレッド試験)」「座席ベルト取付装置試験」の成績書を提出する必要があった。

この件について製造元のテイクオフに問い合わせたところ、実際に強度試験を実施してOKである結果を購入できるそうなので早速購入。

私の地域では、今まで軽自動車検査協会へ持ち込んだアルトワークスに、テイクオフ製ローポジくんを取り付けていた例がないとのこと。検査官がシートの写真を何枚か撮影していった(そうやって自分の地域の自動車検査協会で共有するのだろう)。我が県ではおそらく初だったのだと思われる。

前回の車検では、自社の工場内で車検を取得できる指定工場(例えばディーラー等の多くや、車検屋さんなど)で車検を受けた。その時は何も言われなかったので、「座席取付装置の強度試験(スレッド試験)」「座席ベルト取付装置試験」の成績書の提出は不要だった(ただしこれも、各地域や検査官によるから注意)。ローポジくんを買う際には、ついでに検査成績書を購入してしまえば万全でしょう。

まとめると、車検の際にイチャモンつけられた際に、念のために↑の「座席取付装置の強度試験(スレッド試験)」「座席ベルト取付装置試験」の成績書があると安心、というお話。

ローポジくん関連の記事としては以上。

では、一体どんな根拠があって「検査成績書を出せ」なんて言ってきたんだろうと興味があったので調べてみた。ここから先、できるだけ正しく理解をしようと心がけてはいるものの、調査の確実性を保証するものではない。

車検ルールの解釈

審査事務規程

軽自動車の車検については、その規定が「独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規定」に定められている。

あわせて読みたい

一部引用すると、

4-7 審査の実施方法等

4-7-1 審査の実施方法
(1)自動車の審査は、法、施行規則、保安基準、細目告示及び適用関係告示並びにこれらの法令等に基づく国の
関係通達によるほか、この規程に基づき実施する。この場合において、審査を行う項目は別表 3「審査の実施の方法」及び第 6 章から第 11 章までに規定する項目とし、書面等により審査を行う項目については、受検者に対し必要な書面の提出又は提示を求め審査するものとする。

独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程 第 4 章 自動車の検査等に係る審査の実施方法 より 下線は筆者追記

なるほど。自動車検査員は、必要な書面を提示することを求め、それによって審査する、ってことね。それがどういう時かと言うと、↓

検査に係る審査を行う場合であって、自動車又はその部品の改造、装置の取付け又は取外しその他これらに類する行為により構造、装置又は性能に係る変更が行われていると認められる場合には、当該変更に係る部分に適用される技術基準等に対し、4-12 に規定する書面の提出又は提示を求め審査するものとする。

独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程 第 4 章 自動車の検査等に係る審査の実施方法 4-7-1 2②ア より 下線は筆者追記

部品改造したとわかった時だと。で、その書面の審査はどうやるかは次の通り↓

4-12 書面の提出又は提示
4-12-1 保安基準への適合性を証する書面
(1)技術基準等への適合性を証する書面
次のいずれかの書面とする。
当該自動車又は当該装置の試験成績書(写しをもって代えることができる。)
② 同一構造を有する自動車の試験成績書(写しをもって代えることができる。)
③ 自動車製作者が発行した適合証明書
④ 協定規則に基づく認定証(写しをもって代えることができる。)
⑤ 当該自動車と変更前の自動車の比較による適合説明書
⑥ 当該自動車と他の自動車の比較による適合説明書
計算による適合説明書
⑧ 基準適合性について判断できるその他適切な書面

独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程 第 4 章 自動車の検査等に係る審査の実施方法 4-12 下線は筆者追記

確かに、書面審査は①試験成績書とある。これが、試験成績書を出せという根拠っぽい。でも、上の①~⑧のどれかを出せばOKとあるので、⑦計算による適合説明書でも良いはずで、それであればローポジくんの購入時についていた、「座席取り付け装置の強度検討書」と「シートベルト取付部強度検討書」で十分と言えるのではないだろうか。まぁ、OK/NGの判断権限を持つ車検官がダメと言ったら絶対にダメなんだろう。上記判断基準に書いてると言ってゴネても、ダメと言われて終了だ。規程をちゃんと読めよ、解釈がおかしいだろ、とは思うものの、ここは大人の対応として書類を手配するのが無難だろう。

まとめ

テイクオフ製の「ローポジくん」について、同社が販売している「座席取付装置の強度試験(スレッド試験)」「座席ベルト取付装置試験」の成績書を見せることで車検を取ることができた。検査員や検査する地域によって差があるようなので、ローポジくんを買う際には、ついでに検査成績書を購入してしまえば万全でしょう。

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