ネジをナメにくい工具の工夫について考えてみた

リアブレーキのホイールシリンダーを交換する際に、ブレーキラインのネジを舐めてしまった。

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この時に使っていたのが、昔に購入した安いフレアナットレンチ。この記事では、ネジを舐めてしまった理由を考察するとともに、KTCなどのブランド工具が、ネジを舐めにくくするためどのような工夫をしているのかをまとめてみた。

目次

ブレーキラインのネジは要注意

そもそも、素材がナメやすい上に固着していることがある

特にブレーキラインのナットはナット自体がアルミや真鍮と言った「柔らかい」素材でできていることが多く、ナメやすい。通常使われているネジに比べて強度も弱いことに加えて、足回りだと錆が出ていることもある。

事前にネジ山に浸透潤滑剤を塗布しておくと、外れる確率が上がる。私は足回りをイジるときは、必ずラスペネを使う。

構造上、メガネレンチがかからない

ブレーキラインは、構造上、配管があるため、メガネレンチがかからない。

ここで普通のスパナだと力がかかりにくいため、ナメないために「フレアナットレンチ」を用いる。通常のスパナに比べると、6角で囲い込むようになっているので力がかかりやすく、かつ、工具の厚みも大きくして剛性を高めている。

↑は、昔に購入した安いフレアナットレンチ(ブレーキパイプレンチ)。これで緩めようとしたら、残念ながらネジをナメてしまった。その時の記事はこちら

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フレアナットレンチはまだ何とか掛かる状態だったが、これ以上格闘しても状況は悪化するばかり、と判断して諦めていつもお世話になっているプロに任せたところ、「あっさり緩んだ」とのこと。流石。

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外すために使用した工具を見せてもらったところ、KTCのブレーキパイプ用めがねレンチを使用していた。

今後同様なことが無いように、早速購入。

KTCのレンチと安物のレンチの違いを比較

下の写真は、今回ナメた原因となったフレアナットレンチ(上)と、KTCのブレーキパイプレンチ(下)。

よくよく観察してみると、KTCのレンチには様々な工夫がされていることがわかる。

KTCのネジを舐めない工夫

安物のレンチとKTCのレンチを比較してみると一目瞭然。下写真右側がKTC、左側が安物。

パッと見同じようにみえるが、KTCのツールと比較してみると、先端部に以下3つの違いがあった。

①ネジに接する面積を高める工夫がされている

KTCのブレーキパイプレンチの方が、開口部のネジに接する部分が大きくなるような形状。面積が大きければ、力が分散して掛かるのでネジをナメにくい。

②力を入れた時に開口部が変形しにくいように剛性を高めた作りとなっている

力を入れた時に「ここ、見るからに工具に応力掛かるよね」という部分が、厚くなっている。これによって、力を入れた時に工具の変形が少なくなるため、きちんとネジを緩めることが出来る。

③パワーフィット形状を採用している

KTCの「パワーフィット」という形状が採用されている。安物フレアナットレンチは、先端の構造がエッジの効いた6角形なのに比べ、KTCでは、6角形の角に丸みを帯びた形状となっている。

パワーフィット形状を理解するために、絵を用いて解説すると、下記。ボルトの角に力が掛かるのを分散するという考え方のようだ。

KTCのサイトにパワーフィットの解説が載っているので興味がある方はこちらへどうぞ。

KTCのブレーキパイプレンチはこのような工夫がされており、「絶対ナメたくない」ブレーキパイプのメンテナンスには必須の工具だ。

KTCの工具を選ぶ理由

今回、フレアナットレンチを例にとって解説したが、KTCのレンチやソケットを観察してみると、同様の機構が採用されていることがわかる。こういった工夫により、KTCのツールは舐めにくい、ネジを傷めにくい造りとなっている。

もちろん、KTCだけではなくKokenやSignet、最近ではアストロの工具も含むが、ある程度の値段と品質を持つ工具の形状も同様。高い工具、安い工具には、それなりの理由があるということだ。

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今回のミスを含め、同じようなトラブルは、何年も車イジりをしていると出くわす事がある。私が使用頻度の高い工具はKTC製を中心に集めているのは、こういったミスをやっているうちに、必要な工具を買い揃えていった結果である。

まとめ

今回はネジを舐めない工夫について、ツールがどうなっているのか、を比較して考えてみた。ブレーキ周りの作業を始め、車は多くのネジがあるため、それらを痛めないような工具を使用して、メンテナンスを楽しんでいただければと思う。

面接触を謳うソケットもある

Kokenから面接触ソケット(サーフェイスソケット)が売り出されている。面の接触部分が更に多くなるような形状だ。旧車や足回りの整備の強い味方になるだろう。

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