【初心者向け】車のメンテナンスをDIYで行う時の考え方

車を良好なコンディションで維持するためには、必ず必要なメンテナンス。ディーラーや購入した店舗、近所の整備工場などで行っている方も多いはず。この記事では、DIYでメンテナンスを行う際の基本的な注意点などを紹介する。

目次

車の整備は使用者が行う

車のメンテナンスは、ディーラーや整備工場で行われているのが一般的であろう。だから、資格を持った整備士がやらなければならないのでは?と考えられがちであるが、法律上は「自分で整備をしなければならない」と解釈できる。

道路運送車両法 道路運送車両の点検及び整備(第四十七条―第五十七条の二)に規定されている

第四章 道路運送車両の点検及び整備(使用者の点検及び整備の義務)
第四十七条 自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。(日常点検整備)
第四十七条の二 自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
 次条第一項第一号及び第二号に掲げる自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。
 自動車の使用者は、前二項の規定による点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000185 赤字、太字はkurumashikou.comによる

「使用者は整備をしなければならない」とあり、自動車の点検整備は使用者の義務である。すなわち法律上は、自動車を使う人は、ちゃんと自動車を整備した状態にしておきなさい、と定められている。

しかし、自分でやれる整備は難しい部分があるのも確かで、自分では整備できないところを「整備士」さんに依頼して、自分の代わりに整備をお願いしても良いです、ということ。

DIYで整備してはダメな部分はあるのか?

ちなみに、自動車の整備(特に「特定整備」と呼ばれる箇所の整備)を事業として行う場合には認証が必要である。逆に事業として行わなければ、認証は不要。

法律上は「道路運送車両の保安基準(2021年4月28日現在)」に合致するように整備する前提であれば、「個人が整備したらダメ」ということはない(むしろ乗る時は毎日点検整備しなさい、と記載されている)。要は、車検に通らなくなるような整備はダメだが、DIYで修理・整備してはダメな部品は無い

DIYでボクスターの冷却水漏れ修理(サーモスタット取り付け)

DIY整備のリスク

DIYで修理・整備をするのであるから、その結果に対しても当然責任を負う必要がある。例えば、エンジンオイル交換でも、エンジンオイルを入れすぎてしまったり、逆に入れ忘れてしまったりでエンジンブローした場合には自分で責任を取らなければならない。

「特定整備」(昔は「分解整備」)と呼ばれる走る・曲がる・止まる・運転支援に関連する部品、特にブレーキの整備などをする場合には専門家に相談したほうが安全だろう。どこまで自分でやれるのか、どこからはプロに任せるのか、をよく考えてDIYを行うのが良い。

プロの工賃は技術・経験を考えると相応

プロ整備士は、経験や技術が全然違う。特にディーラーや、長年やっている整備工場などではオイル交換一つの作業所作を見ても、効率よく丁寧に作業してくれる。まず、そういったプロに仕事として工賃を支払うのは当然であり、DIYでやった作業とはクオリティが全然違うということを認識しておくべきである。また、 最近の車はハイテク化しており、プロの力が必要になってくる場面も多い。

もちろん、作業の金額はDIYの方が安く済むのは間違いないのだが、いざとなれば頼れるプロの技術と経験値を「買う」つもりで、DIY作業をやる場合でも信頼できる整備工場を見つけておくことがおすすめプロは、頼りになる存在であるし、相応の工賃をしっかりお支払いすべきであろう。

DIYでやるメリット

では、DIYで作業を行うメリットはというと、もちろん工賃がかからないのもあるがそれ以上に「一生使える」知識として整備の基本を知ることができることだと思う。

車の構造に詳しくなる

ブレーキやサスペンションなどを交換する際に自分で行うことにより構造が理解できる。特にサスペンションを社外品に変えるなどを行った場合、「どこを調整したらどうなる」かや、「どういった入力を想定してこういうセッティング」などを考えるには構造を理解していないと難しい。DIYすることにより「走る楽しさ」に結びつく事が多い。

ショップの開店時間に縛られなくなる

これが私がDIYでやる理由で最も大きい。オイル交換作業であれば、30分程度で完了できるので、休日のちょっとした時間だとか、深夜早朝にガレージでサクっとやってしまう事が多い。ディーラーやカーショップに予約しても、移動時間・作業時間を考えると30分程かかってしまうと思われる。DIYなら、自分の気が向いた時間に作業できる。これに、ガレージが組み合わさるとさらに自由度が高まる。

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DIYで揃えておきたい工具については、こちらの記事を参照↓

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車検前の整備

エアクリーナー、エアコンフィルター、バッテリーなどを事前に自分でチェックしておき、必要であれば交換しておくことにより、車検費用を抑えることができるのでおすすめ。

DIY作業の安全への配慮

DIYでクルマの整備を行う場合には「安全で楽しく」が第一。以下、DIYで作業を行う際に気をつけておきたい項目をいくつか記載しておく。

ジャッキアップする際には輪留めをした上で行う

DIY作業の第一歩として、ジャッキアップは基本中の基本。ガレージジャッキとリジッドラックでジャッキアップすると作業の幅は広がる。ジャッキアップの際に着地している側のタイヤが動くと車両が進んでしまうので、ブレーキやインギアを過信せず必ず輪留めをしてから行うこと。特に、駆動形式によってはギアを入れてパーキングブレーキをかけてもロックされない車輪がある(S660の前輪とかね)ため注意が必要。

ジャッキアップするときには、ジャッキアップしない側に必ず車止めをかけること

クルマの下に潜る際には必ずウマをかける

以前油圧ジャッキを分解した記事で記載しているが、油圧ジャッキの中の本の小さなゴムパーツがヘタっただけで油圧が抜けてしまう。また、ジャッキが「点」で車両を支えているので揺れに弱い。このため、ジャッキアップのみで車の下に潜るのは絶対にNG。かならずウマをかけよう。

クルマの下に潜る際には必ずウマをかける
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ジャッキアップ工具については、こちらの記事を参照↓

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適正トルクで締結する

初心者は、ネジを強く締め付けすぎる傾向がある。ホイールナット締め付けの際などの指定トルクが有る場合には、トルクレンチを使おう。タイヤ交換の際に締め付けすぎでハブボルトを壊したり、あるいは緩すぎでタイヤが外れると高くつく。ホントに整備が初めて、という方には自分がメンテナンスをしようと思っている場所のボルトにあったトルクレンチがあると安心である(当面は安物でも良いから)。

トルクレンチの選び方については、「クルマのDIY作業に適したトルクレンチの選び方」を参照。

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携帯電話を必ず持っておく

ガレージで作業中に事故があった場合に備えて私は携帯電話をポケットに入れている。万が一の時に家族に助けを求めるためである。

DIYを楽しもう

余談だが、カリフォルニアに行ったときにフラっと自動車用品店O’Reillyに立ち寄ってみたが、日本で言うAUTOBACSやYellowhatのようなところで、プーリーベルト、オイル、ラジエータがずらりと並んでいた。同僚は、北米ではディーラーは「車を買うところ」で「あまり行きたくない(遠いし高い)」から自分でできる整備は自分で行う、と言っていた。自動車ディーラーが全国各地にたくさんあり、距離も近い日本とは少し考え方が違うかもしれないが、DIYで整備される人口が多いと思われる。

車好きで、車の構造に興味があるのなら、DIYでのメンテナンスにトライしてみると勉強になる。各部品を分解整備すると走行中の車両で何が起こっているのかをより具体的に想像しながら走ることもできる。私は「できることは自分でやる」というスタンスでDIYを行っている。何より、達成感を得られるし、DIYで経験した技術や知識は一生使えるものである。

自分のできる範囲で、楽しいDIYライフを!

参考リンク

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