ギア比と回転数、速度の関係のグラフ

トランスミッションは、エンジンから取り出されたパワーを適切にタイヤに伝える役割を持っている。エンジンから取り出されたパワーは、トランスミッションを通じてタイヤに伝達される。車両のギア比からシフトポジションと回転数、速度の関係をグラフ化することで、自分のクルマの特性や性能を把握することができるようなExcelを作成した。ギアと回転数、速度の関係を解説したので、自分のクルマの性能を把握したりチューニングの際の参考にしてもらえれば嬉しい。

トランスミッションはMT(マニュアルトランスミッション)、AT(オートマチック・トランスミッション)、CVT(連続可変トランスミッション(または無段変速機とも呼ばれる))に大別される。本記事ではその基本となっているMTの仕組みを元に解説しているが、ATにも応用ができるように作っている。

目次

ギア比と回転数、速度の関係のグラフ

仕組みはとりあえず置いておいて、エンジン回転数と速度のグラフを作成できるExcelは↓からダウンロードできる(当方でも実施していますが、一応ウィルススキャンをお願いします)。

ダウンロードしてファイルを開き、下記の水色のセルに主要諸元などから数値を入力する。

また、CVTの場合、最大ギアと最小ギアを入力すると仮想的にギアを6分割した値で計算することができる(あまり意味はない…)MTやトルコンATの場合は-のままでOK。

S660ベータ(6MT)、アルトワークスHA36S(5MT)、ポルシェ987ボクスター(5MT)については、過去に予め値を入力した物があるので、同じ車種の方は以下からダウンロードすると楽。

車種Excel
S660 6MTダウンロードはここをクリック
アルトワークス(HA36S)FF 5MTダウンロードはここをクリック
ポルシェ987ボクスター 2.7 5MTダウンロードはここをクリック

S660の例

S660で入力した結果が下図。あくまで理論上の速度。64馬力だと150km/hを超えるのは大変だと思うので、意味のないデータの場合はグラフの縦軸のスケールを変更して使用すれば良い。

フルノーマルのS660の場合、6速で3,049rpm程度で走行すれば、100km/hで走行しているということがわかる。また、80km/hで走行している時、4速から3速に速度を維持したままシフトダウンする時は、約1,600回転分、回転数を上げて合わせれば良い事がわかる。

エンジン特性とトランスミッションの必要性

エンジンのトルクと馬力について解説したページでも触れたが、燃焼によりピストンを押し下げる力がクランクシャフトに伝わり、その後トランスミッションを通してタイヤに伝達される。ただしエンジンには最大トルクを得られる回転数と、最大出力を得られる回転数が決まっている。

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トランスミッションは、エンジンの出力を適切に取り出すために存在している。街乗り~高速道路など様々なシチュエーションにおいて適切な回転数で走行することができるのは、トランスミッションのおかげというわけ。

エンジンの出力がタイヤに伝わるまで

下図はエンジンからタイヤまで出力が伝わる仕組みの概要を示している(S660を想定して書かれている。FF車でも仕組みはおおよそ同じ。FR、4WDはこれにプロペラシャフトがつくが、基本の仕組みは変わらない。クルマに詳しい方はインプットシャフトとカウンターシャフトの描写に、筆者の絵心の無さを笑ってご覧頂ければありがたい)。

クランクシャフトの回転がトランスミッション内のギアに伝わり、タイヤを回転させる。ここで、エンジンの回転数(=クランクシャフトの回転数)と、それを車輪まで伝えるギアのギア比、最後にタイヤ外径がわかれば、タイヤの回転数から速度を算出できるというわけだ。

速度V(km/h)= ( rpm / (g(n)×f)) × R × 60 / 1000

g(n):n速を選択したときのギア比 f:ファイナルギア(最終減速比) R:タイヤの周径(m)

チューニング要素

実はこのExcelを何のために作ったかというと、NB8Cロードスターのサーキットに適切なタイヤ選びのため。NB8Cの日光サーキットのバックストレートエンドで純正の3速だとレブリミットにあたってしまうという悩みがあったので、タイヤ外径を少し大きくして3速のレブレブリミットギリギリとなる回転数となるようにベストなタイヤサイズを検討するために使用している。また、ファイナルギアを変更したり、1~3速をクロスにするという検討にも使うことができる。

↓はNB8Cでのセッティング検討の例。

この例だと、タイヤサイズを195/50R15から205/50R15に変更すると、ギア比が変わらなくても3速120km/hのときの回転数が低くなることがわかる。195/50R15だと外径が小さくなるので回転数が高くなるので加速に有利だが、7,100回転まで回ってしまうと馬力が出ないので、高速セクションで外径を大きくしたほうが有利だと判断した。このあたりはエンジン特性や足回りの変更内容や、腕によって大きく影響を受ける(よって、タイヤサイズだけを真似しても多分意味無いです念の為。もっと上手い人は4速でタイヤサイズ小さくした方がタイム出るって人も居るはずですので)。

サーキットだけでなく、高速でもう少し静かに走りたいときはエンジン回転数を落とすようにタイヤ外径を気持ち大きくしたり、鋭い加速が欲しければその逆、というように、自分のベストチューニングを計算して、サーキットや走るステージに応じて変更を検討するのも楽しい。

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