私のS660の純正プラグはDNESO製の8番が使われている。今回はより熱耐久性の高い9番のプラグに交換した。交換方法とともに、見れる範囲でシリンダーチェックも行ったため、その結果をまとめた。
プラグ交換の必要性
私のS660は、郊外の高速道路、峠、サーキットでの使用がメインとなる。そのため、通常の街乗りよりも高回転・高負荷での運行となる。街乗りメインであれば特に気にする必要はないが、高負荷の連続運転が多いため、以前からプラグ熱価を上げる必要性を感じていた。
特に夏は、オイルクーラーによりエンジンオイルの温度は安定してはいるものの、吸気温は高い状態。(オイルクーラーについてはこちら)。
プラグの選択
スパークプラグの選び方
熱価は高ければ良いというわけではない。ただ、純正のプラグが街乗りを中心とした使用を想定していると思われる。なお、フラッシュエディタ等でエンジン出力を上げている場合には、1つ上の熱価である9番のプラグが推奨されているようだ。今後のパワーアップなどを考慮しても予め熱価を上げておくことにした。
スパークプラグの選び方についてはこちら
HKSのプラグに決定
ずっとNGKで探していたが見つからなかったので、結局HKSのプラグを採用した。NGK9番相当とのこと。
プラグ交換手順
プラグ交換はそれほど難しい作業ではない。工具さえあれば難なくこなせる。
必要な工具
今回使用した工具たち。
14mmのプラグレンチがなかったため、新規購入することに。プラグの取り付け・取り外しに必ず必要な工具となる。
プラグ交換の際に重宝するのが、こちらの記事でも紹介したラチェットアダプター。スライドハンドルやエクステンションバーと併せて使用することで、エンジン・ブレーキ・サス周辺のメンテナンスに重宝する。
エクステンションバーも長めのものがあると便利だ。
プラグ交換方法
エンジン上部の樹脂カバーを外す。3点ではめ込まれているだけなので上に引き抜く。
下赤丸のネジを2箇所外して、配管をずらす。
手が入る様になるのでイグニッションコイルにつながっているカプラを取り外す(下図の通り、カプラのツメを親指で押して抜くと抜ける)。
10mmのレンチでコイルを止めているネジを緩める。ディープソケットでもいいが、かかりが浅いため、メガネレンチのほうが確実。
同様に3箇所緩める(1箇所は普通のボルト)。外れたら、イグニッションコイルを引き抜く
次はプラグの取り外しだが、イグニッションコイルを取り外したらエアブローしておくと、ゴミがシリンダー内部に入るのを防いでくれる。
プラグレンチを取り付けた工具でプラグを外す。
取り外した部品一覧がこちら。
シリンダー内部チェック
プラグが外れている状態なので、そこにスコープカメラを入れれば、シリンダー内部を見ることができる。以前987ボクスターのシリンダーチェックの際にも使用したもの。
↑は昔購入したものだが、同等の性能以上の製品が、1万円程度で手に入る。
シリンダー内部の様子
撮影したのがこちらの画像。一番運転席側のシリンダー。めちゃくちゃキレイだ。実はずっとハイオク入れていたのと、ぶん回す事が多いためだろうか。
中央のシリンダー。こちらもとても綺麗。
最後の気筒は上死点にあったため、撮影できなかったため省略。見える範囲ではどの気筒にもピストンに傷や欠けもなく、カーボン付着も見られなかった。
取り外したプラグと、取り付けるプラグの比較
見た目の違いはほとんどなし。純正プラグは先端が白くなっていたので、今回の熱価1つ上げは妥当かもしれない。
プラグの取り付け
一通りチェックを楽しんだので、プラグを取り付ける。プラグを取り付ける際には、シリンダー内部へのゴミ進入の防止と、プラグの締付とトルクに注意。プラグレンチを使って締め付けていくのが常道だと思うが、斜めに入れてしまうとネジ山を痛める可能性があるので必ずまっすぐ入れること。
次回取り外しの際に、固着するトラブルを避けるため、ネジ部分にスレッドコンパウンドを薄付している。(注:私は好みで使っているが、プラグにはスレッドコンパウンドを塗布しないのが一般的。987ボクスターのサービスマニュアルには「何も塗布しないこと」と明記されている。また、ディーラー整備でこういったものを使うことは無い)。
プラグのトルクは通常は回転角で見る。プラグの説明書には、新品交換の際には着座してから1/2回転(再使用の際には1/12回転)。
プラグの説明書には、トルク15~20N・mとあった。回転角との整合を見るために、トルクレンチにて計測してみた。プラグのワッシャーが着座してから5/8回転程締め付けたら、20N・mのトルクレンチがカチッとなったので、問題なしとした(なお、純正プラグの指定トルクは22N・m)。
トルクレンチについてはこちら
最終確認して完了
最後にエンジンをスタートし、完爆(ちゃんとアイドリングするか)を確認して完了。フィーリングに劇的な変化はない。体感できるパーツではないが、自分の使い方やこれからのパワーアップを考慮して、S660のスパークプラグの熱価を1つ上げた。
最近のプラグはイリジウムプラグなので、色で焼け具合を判別することはできないが、電極周辺が少し白っぽかったので、今回熱価を上げて正解だと思われる。特に高回転を多用する人にはおすすめしたい。
コメント
コメント一覧 (2件)
いつも更新楽しみにしています。
プラグ、コンパウンドってどうなんでしょうか。
プラグメーカーが使うなと言っている方法です。
同じトルクをかけても、実際の締結力があがってしまいます。
ネジの緩み止めに使うイメージですね。
個人としても必要と思ったことがありません。
サーキット等は走らないので熱の入りが大したこと無い、からかもしれませんが・・・
tokumori様
コメントありがとうございます。
S660のサービスマニュアルはわかりませんが、ポルシェのサービスマニュアルには、「何もつけないこと」という記述がありました。理由は、
1)同じトルクでも締め込みすぎてしまう
2)点火不良が起こる可能性がある
の2点だと理解しております(明記はされていませんので、推察です)。
その上で、
1)トルクレンチなどは目安、基本は回転角でトルクを管理する
2)塗布量はあくまでネジ山にほんの少し、気休め程度とする
こととしています(記事に記載の通りです)。
使用する理由は、
・完全な好みですが、次回緩めるときに「バキッ!」じゃなく「スッ」って緩むのが気持ちがいいからです。
・熱が入ったときにカジリにくくなることを狙っています。マフラーやブレーキのボルトには必ず使っていますが、今回のプラグでは、締結相手がアルミだから、カジリのリスクはそれほど高くないと思いますので「気休め程度」です。
一般的には何も塗布しないのが正解だと思いますので、注釈を記載しておきました。
コメント、ありがとうございました。