S660の慣らしについて考察。実際にやってみた

そもそも慣らしが必要か?という話から。「最近の車は昔と違って生産時の工作精度が高いから不要」というのが一般的なようだ。んじゃあ、やらなくても良いのか?っていうと、「そりゃやった方がいいだろう」というのが個人的な見解。では、公式見解はどうなっているか、また、自分はどうやったかを記載する

目次

Honda公式見解

Hondaお客様センター より引用

Q:クルマの慣らし運転は必要ですか。
A:現在の車は、エンジンやその他の部品精度が向上しているため、慣らし運転を行う必要はありません。ただし、機械の性能保持と寿命を延ばす為には以下の期間はエンジンや駆動系の保護の為に、急激なアクセル操作や急発進を出来るだけ避けて下さい。

・取扱説明書に慣らし運転期間の記載がある場合 → その期間
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載が無い場合 → 1000km走行までを慣らし運転の期間

S660は、1,000km程度、「機械の性能保持と寿命を延ばす為」にはやった方がいい、ということらしい。

クルマはその設計者(達)によって、使用手法と、生産~廃棄に至るまでのいわゆるライフサイクルを想定されて設計されている。当然ながら通常の使用範囲において、メーカーが保証する走行距離で故障が起きないようにマージン込で各部品の精度が決められている。生産過程でのばらつきも含めて問題が起きないことの検証を行っているはずであるので、過度な心配は不要と思う。

一昔前の車は…

例えばNBロードスターなどを含む今まで乗り継いできた車は、新車時、あるいはデフ等の交換をした後に慣らし完了後にオイル交換を行うと金属粉がオイルとともに排出された。987ボクスターは、エンジンオイルを交換すると、キラキラした粉がオイルに混じってた。

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クルマ志考的クルマの慣らし方法

金属と金属が摺動するのだから、当然、擦れて傷がつくはず。慣らしは、生産時に許容される範囲の部品バラつき等で発生する摺動部のバリを取り、アタリをつけることが目的。街乗りを中心に慣らしをやってあげることで、様々な回転数でアタリをつけていく。

そういったことを考慮しながら、私は以下方法で慣らしを行った。

エンジン

  • 新品のエンジンは摺動による金属片が出る(ハズだ)から、あんまり回転数上げずに、金属片をオイルに吸収させておく。1,000km走行後にオイルを交換
  • 初期500kmまでは一般道で3,000rpm~4,000rpmを中心に走行。このとき、高速道路は回転数が一定になりがちなので使わない。ピストンがシリンダー壁に接触する場所は、回転数により異なるはず。よって、除々に上限回転数を上げていく(100kmごとに。回転数を1000rpmずつ上げていく)。最後は高速道路を走行して完了

トランスミッション

慣らしというとエンジンだけに注目が行きがちだが、先にも述べたように金属摺動部のあたりをつけるのが目的。よって、トランスミッションについても気をつけると良いだろう。MTの場合、トランスミッションのギアができるだけスムーズに歯が当たるように、また、シンクロをいたわるためにダブルクラッチによるシフトチェンジを行う(レースや、コンマ数秒を競う場合を除いて、私は常にダブルクラッチを使っている)。

ダブルクラッチの方法
例えば、2速→3速にシフトアップする際には、
1)クラッチ踏む
2)2速からニュートラルに入れる
3)ニュートラルのまま、クラッチつなげる
4)アクセルを煽る(次のギアにつながる時にショックが出ない回転数+α)
5)クラッチ踏む
6)3速に入れる
7)(必要に応じて)回転数合わせて、クラッチを繋ぐ
書いてて面倒くさって思ったが、意外と慣れればどうってことない。シフトダウンのときも同じ。クラッチがつながったとき/離れているときの動きと、トランスミッション内部のニュートラルのときのギアの回転をイメージするとわかりやすいかも(インプットシャフト、カウンターシャフト云々、って話です)。以下、わかりやすい解説。便利な世の中になった。

デフはオープンなんで、、、特に気を使わずに通常走行の範囲で使ってやればいい。いきなりパイロンスラロームとかは、やらんでしょう普通。

足回り、ブレーキ

  • サスは、いきなりぶっ飛ばさなければ、そのうちこなれていくだろう。できるだけはじめは凸凹が少ない道を走りたい
  • ブレーキは、いきなりガツンって踏んで熱が入るとジャダーの原因となるので、パッドとローターの当たり面を出すために、緩やかに操作する

各種シール類

各シャフト、ゴムパーツなどに「温まっていない状態」で負荷をかけることをやめる。具体的には「エンジン暖気終了!」で普通に走り出す、ではなく、「エンジンちょい暖気」からの「走りながら暖気する」のが適切と思う(エンジン水温だけ上げても、トランスミッション・デフ・サス周りが冷え冷えだとしょうがない)。

走行距離

Honda推奨の1000km程度で良いのではないかと思う。私は800kmほど街乗りで走行し、その後、夜中の空いている高速を350km、周囲に迷惑がかからない範囲で速度と回転数を変えながら走行して完了とした。

S660で新車から660km走行
途中の660イベント

フィーリングの変化はあったか?

慣らしを終えて、ダンパーがスムーズに動くようになったな~とは感じるし(500kmくらい)、ブレーキの効きが安定してきたな~(100kmくらい)と感じた。ただ、エンジンに関しては、1,000km走ってフィーリング変化はあったかというと、実はよくわからない。「回り方」がスムーズになったな~は「プラセボ的な感覚」として感じるけど…。トランスミッションも、ギアの回転というよりは、リンクのグリスがよく馴染みましたね、的な。まぁ、新車で買ったのだから、これも一つの楽しみってことで。

エンジンオイルの汚れ

エンジンオイルを交換して、汚れの具合をチェックした。

慣らし後のオイルだが、「全然汚れていない」状態だった。金属粉も、「キラキラしたものが数かけら、あったかな?」程度。Honda公式でも「部品精度の向上」といっているが、果たしてその通りだったってこと。

S660慣らし終了(エンジンオイル)

比較参考までに、ボクスターのオイル交換後の金属粉

見ていただければ分かる通り、全然違う。S660と比べると一目瞭然。以前乗っていたポルシェの調子が悪いとか消耗しているとか、そういうわけではない。いわゆる「通常の範囲内で、ちょっと多いかナ」位。S660は新車慣らし後だったので、これくらいだろうと想定していたが、少なすぎて逆にびっくりした。オイル量も、メーカーの考え方も、時代も違うので一概には言えないが。

987から排出したオイル。金属粉でキラキラしている

S660のエンジンオイル交換については、下記記事参照

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ミッションオイルの汚れ

ミッションオイルを2,350kmで交換

こちらも、オイルは黒くなっていたが、金属片は無し。最近の車ってすごいね。昔は、キラキラした鉄粉がでてくるのが当たり前だったのに。

S660慣らし終了(ミッションオイル)

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まとめ

たしかに、Hondaの公式見解のとおり、今のHonda車には、(エンジンを見る限りは)あまり必要ないかもしれない。ただし、ドライバとして車に慣れることも必要だし「やらないよりは、やったほうが絶対良い」と思う。

慣らしは、摺動部をなめらかにして、部品と部品が擦れ合う「アタリ」を出す作業である。でも、今の車部品は精度が結構いいので、そんなに神経質になる必要はない。だから、慣らしやった人&これからやります、って人は、どうぞどうぞ!
そんなのやって無いよ!って人は、Hondaの言う通り、通常の使用内であれば問題は発生しないと思われる。

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