純正のドライビングポジションの最適化を行い、満足できる結果となったので、一連の作業まとめた。S660は、楽しくスポーツドライビングができる車両である。ドライバの意のままに操作でき、車両との一体感を楽しむためには、ドライビングポジションは重要な要素の一つだと考えている。
軽自動車であり、二人乗り。全高1,180 mmと低い。このパッケージでよく成立させてくれたと思う一方で、小さな車両であるがゆえに、変更の自由度も低いが、自分にとってネガと感じた純正部分を最適化してみた。
純正のドライビングポジションの課題
下図は、純正のドライビングポジション(模式的なものなので寸法などは大雑把)。
ステアリングにはチルト(上下移動)機構は備わっているが、テレスコ(前後移動)機能がついていない。ステアリングは、若干肘が曲がった状態で9時15分の位置で持つのが基本。かつ、ステアリングの12時の位置を持った時に肩がシートから離れない状態が理想。というのも、ステアリングを操作した時に肩がシートから離れてしまうと、ステア保持に悪影響がでるから。これでは、せっかくのコーナリング性能を存分に楽しめない。
エアバッグ展開の際に乗員とステアリングのクリアランスを保つためと思われるが、最近のクルマはステアリングの位置が若干遠いので、もう少し手前にしたい。そのためには、シートの背もたれを起こしたり、寝かしたりで調整することになる。ステアリングを近くしたい場合、シートは起こし気味となる。その結果、172cmの私が純正シートに座ると、どうしても天井との距離が近くなってしまう(髪の毛が触れる程度)。これでは、サーキット走行時、ヘルメットを装着したまま乗ることは難しい。結局、シートを寝かすことになり、ステアリングは遠くなってしまう。「攻める」姿勢が取りづらいのだ。
また、純正シートでは、右膝がドアの内張りに、左膝がセンターコンソールに当たってしまい、高G領域で膝が痛い。
ということで、ホールド性の向上とポジションを低くするため(結果、副次的に重心を下げて運動性能を向上するため)にバケットシートを導入した。
バケットシートの導入とその後の課題
バケットシートの検討と導入については以下記事参照。
↑の記事の通り、シートをBRIDE XERO-VSに交換した結果、アイポイントが下がり、ホールド性も向上した。頭部のクリアランスも良くなった。しかし今度は、下図のように純正ポジションに比べて「寝気味」なポジションになったため、ステアリングが遠くなってしまい肘が伸びてしまった。ステアリング上部を持った時に若干肩が浮いてしまう。さらに、体が下に下がったため左足をフットレストに乗せると、膝の曲がりが大きくなってしまい、窮屈に感じるようになった。
これでは、バケットシートを導入したメリットが低減されてしまう。そこで次に、ステアリング交換とフットレストの位置を改修した。
ステアリング交換とフットレスト位置の改修
ステアリングを社外品に交換する。最近のホンダ車のステアリングは太くなっていて、サーキットでレーシンググローブを装着して操作することを考えると純正ステアリングは太すぎて握りにくい。そこで、ロードスター、ポルシェと使い続けてきたNARDI クラシックの34Φに変更。レーシンググローブを装着した状態で丁度良い太さ。
ステアリングを社外品に交換する際に30[mm]のボススペーサーを噛ませて手前にステアリングを移動させた(ステアリングボスとスペーサーの寸法を純正と比較して、純正位置から約20[mm]程度手前に移動した計算になる)。
ステアリング径によるフィーリングの違いはこちら
スイッチ移設後、ステアリング交換。
さらに、フットレストをアンコ抜きし、奥側にフットレストを20[mm]程度移動した。
ドライビングポジションの仕上げは靴。ドライビングシューズがあれば完璧。
これで自分好みの運転姿勢にすることができた。続いて、シフトノブを交換する。
シフトノブ交換
S660のように横から握る配置のシフトレバーの場合であれば、棒状が好み。座面が低下したことにより、正位置に比べて、更に横から握るような操作となる。ホンダ純正オプションのチタンシフトノブの形状は、横から握る操作でも使いやすい。純正シートでも使っていたが、バケットシート導入後も違和感なく使うことができる。
ドライビングポジションの最適化まとめ
以上で、自分にはピッタリのドライビングポジションを得ることができた。下図が最適化後のポジションのイメージ。
- バケットシート(BRIDE XERO-VS)導入により、ホールド性と運動性能を向上させ、ヘルメット装着時のヘッドクリアランスを確保
- ステアリングを小径、細身のナルディClassic344に変更。その際にスペーサーで手前に移動させ、ステアリングの操作安定性の向上と、素早い操作が可能
- フットレスト位置を最適化し、コーナーでのホールド性向上と、通常時の窮屈感の解消
- シフトレバーは横から握れ、かつ、上から握った時に手のひらに球面が当たる形状
純正のポジションはよく計算されているが、物足りないのも事実。一方で、なにかを一つ変えてしまうと色々なところに影響がでてくる。自分のスタイルに合わせて工夫を行い、最適化して「自分仕様」を作っていくのが、クルマ弄りの楽しみの一つである。
S660ノーマルの実力は?
ドライビングポジションが定まったので、サーキットでS660の実力(ドラポジ以外はフルノーマル)を試してみた。
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