S660購入~売却までのまとめ

2021年4月に我が家にやってきたS660。学生の時に親父が新車購入したロードスターは、親子で合計20年弱保有していたが、S660も同じように、ゆくゆくは息子が乗るのかな、なんてことを漠然と考え、売却なんて考えてもいなかった。状況が変化したのは2023年のゴールデンウィーク開けに海外への転勤を打診されたこと。暫くは日本に帰ってこないことになるし、家族全員で海外生活となるため、我が家の車は全て処分しなければならない状況になった。

もう手元にはS660は無いが、この記事は、S660を購入してから、売却まで、私がS660で楽しんだこと、考えたこと、理解できたことを経緯を振り返るためのまとめ記事として執筆してみた。

目次

S660購入

私がS660の購入に踏み切ったのは、2020年12月。そこから半年後の2021年3月にHondaから製造中止のアナウンスがあり、一時的に高価格となってしまった。しかし、「価値のある車だから」と気負うこともなく、車を楽しむことにした。

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購入直後は、カーペットやエンブレムなど、ちょっとした小物類の搭載を行い、慣らし運転。

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ノーマルのセットアップから、設計者の意図を考える

ノーマルの車は、「自動車の設計者がこの車を通して表現したかったもの」が見えてくると考えている。もちろん、Hondaの設計・開発者の本当の意図は知る由もないわけだが、当然、2シーターミッドシップという「走りの楽しさ」を意識したパッケージになっていることから、その「走りの楽しさ」とは具体的に何かを考えてみた。

加速度

車の楽しさの一つとして「加速度の大きさ」を挙げる人も居るのではないかと思う。以前、海外のサーキットでゼロヨン(1/4マイルの直線の速さを競うモータースポーツ)を体験したことがあるが、ゴールまでずっと続く強烈な加速は、確かに楽しさを表現する一つの要素であると思う。

(↑の画像に興味のある方はこちらのリンクをどうぞ

その点、S660は軽自動車。ハイパワーの4WDやFRの加速にも及ばない。

コーナリング

やっぱり、S660の真骨頂は、コーナリングだろう。

軽自動車のエンジンではあるものの、MRレイアウトによるコーナーを抜けた後の立ち上がりのトラクション、低回転からブーストを立ち上げ、高トルクの状態を維持するような制御も相まって、タイトコーナーを抜けた後の回転数からの加速っぷりはなかなかのもの。これに加えて、車重の軽さや、ホイールベースの短さを活かして、コーナリングを楽しむ車が、S660である。

設計者は、カートの要素を取り入れたハンドリングマシンを作りたかったのではないかと考えている。

「サーキットを走る人には、そのパッケージングによるコーナリングを楽しむ車として、また、街乗りで楽しむ人にはオープンという爽快感を楽しめる車として開発しました!」というメッセージを感じた。

ノーマルで乗ってみると、ハンドリングのクイックさ、ボディ剛性とコシのある足回りにより、峠道をキビキビと走るシーンが似合う、楽しい車であることがわかる。

以前所有していたポルシェ・ボクスターとS660。どちらもMRだが、パワーと車重が全く異なる。ともにコーナリングマシンだが、S660は軽やかな動き。ボクスターはどっしりしたフィーリング。どちらも楽しい車だった。

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チューニングの方向性と実施

そういう車だから、チューニングの方向性は割りとシンプルに決まった。車を弄るときには王道だが、私はノーマル状態で乗ってみて、不満があるところを改良していく、というやり方。そして、シート・ステアリング・シフトノブといった、ドライバーが常時触れていて、車からのインフォメーションが伝わるパーツの交換を最優先としている。

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次に、エンジンのコンディションの管理。メーターの追加やオイルクーラーの追加で、壊れない車を作ること。

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そして、ブレーキ、タイヤ。さらにパワーアップ(普通車だと、パワーアップより先に足回りだが、S660はパワーが足りないので、まずパワーをどうにかしたいと考えた)。最後に足回り、といったプランを考えていた。NB8Cも10年近くコツコツといじっていたので長期でどっぷりやっていくスタイルなので、ブレーキパッド何しようかな~なんて考えていたら、売却となってしまった。

タイヤは、サーキット走行後にパンクしたため交換している。

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最終的には、ホイールはRAYSのTE37、サスはHKSか、予算があればKONIを特注で設計、エンジンはタービン交換とROMチューン、LSDを追加したS660で、日光サーキットでどれくらいで走れるのか試してみたかった。

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S660は、MRレイアウトのコーナリングマシン。このパッケージの良さを活かし、日常使いは多少犠牲にしつつも、コーナー(特にミニサーキット)に照準を絞ったチューニングをしていきたいと考えていた。同じ考えの人はいっぱいいるはず。最強のコーナリングマシンを作るというコンセプトでチューニングしていくのが楽しいと思える車だった。

売却

ツイッターやこのブログで売却を募集して、いくつか打診を頂いたものの、タイミングが合わず、結局中古買取り業者へと売却した。βの新車価格は約200万円。14,000km程走行、車検が9ヶ月程度残っている状況での買取価格は190万円程。相場を特に調べたりはしなかったものの、買い取り業者さんの人柄がよく、その場で即決。2年程乗って、パーツ代や保険、ガソリン代などはかかったものの、良い買い物だったのではないかと思う。

まとめ

S660は、ハンドリングマシンであると考える。サーキットなどの安定した路面を走行する前提であれば、もっと過敏なチューニングをしてやると、最高に面白い車になる予感がしていたが、諸事情により手放すことになってしまった。こんなぶっ飛んだ車、もう販売されることは無いと思う。次のオーナーさんのところで元気に走ってくれれば、元オーナーとしては幸いである。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • S660ネタに限らず、いつも記事を楽しみにしていました。
    昨今はしっかりホームページとして構えている方が少なく(私も投げてしまった口ですが)、貴重な情報源とさせてもらっていました。
    そういう意味では非常に残念ですが、もし何らかのかたちで現地の乗り物事情等の発信があるのであれば、また楽しみにしたいと思います。

    • tokumori様
      コメントありがとうございます。海外からも更新ができるのか、広告収入(微々たる額ですが)が税制上問題ないか等を調べております。今のところ問題なさそうなので、現地から発信は続けていきたいと考えております。今後とも、よろしくお願いします!

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